私には知的障害を伴わない発達障害を持つ息子がいる。
出産後、双子の長男ー空の育てにくさに様々な本を手に取り
その育てにくさの正体を探った。
空は寝ない、飲まない(ミルク)、泣き続けるという子供だった。
泣くときはそっくり返り、抱いていることも大変な状態だった。
まだ首が据わらないうちに寝返りをしたかったのか、もぞもぞと動く赤ちゃんだった。
寝返りができるようになると転がりながら動き、ハイハイができるようになったと思ったら、つかまり立ちをし、一人で立てたと思ったら走り出した。
とにかくじっとしていない子供で4歳までは夜泣きせずに朝を迎えたことは一度もなかった。あまりの夜泣きのすさまじさに救急車を呼ぼうと思った夜もあった。
そんな空の育てにくさに、普通の子供とは違うものを感じた。
色々な育児関係の本を読むうちに学習障害児を綴った本にめぐり合った。
そこに描かれている子供の姿は、とても空に似ていた。
そこから空には、なんらかの障害があるのではと思うようになった。
乳幼児健診で何度か相談したが「様子を見ましょう」という一言で済まされていた。
私は言い知れない不安を抱え、ただ野放しに見守ることが子供のためになるのだろうかと思っていた。もし障害があるのなら、できるだけ早く療育を受けさせたいと思った。
障害があろうがなかろうが我が子には変りはないのだから、本人がより生きやすくなる術を早く身に付けさせたかったが、私にはその教育の仕方がわからない。
まずは空の育てにくさの正体を知ろうと児童相談所に駆け込んだのである。
児童相談所に予約を入れ面談に行った。育てにくさや激しい夜泣き、
同じCMを繰り返し見る事、指差しをしない、爪先立ち、多動などを訴えた。
当時は知的障害を伴わない発達障害について知られていないせいか、
結果はやはり「様子見」だった。しかし、そこで引き下がれるほどの状態ではなかった。
私は様子を見ましょうと告げた職員に
「たったこれだけの時間で何がわかるんですか?様子を見れるくらいなら、わざわざココまで来ません!24時間見ているのは私です。だったら24時間観察してみてください!」
そこまで言って、脳波検査を受けることができた。
当時(1999年ごろ)は、まだ知的障害の伴わない発達障害については、知られていなかったので仕方ないのかもしれないが、このときに必要な支援は待っていても受けられないと悟ったのである。
子供の発達に悩む親は多い。
私はそんな母親たちから「うちの子はどうかしら?」と相談されると、
決して「様子見」は勧めない。
医師ではない私が診断をすることはできないから受診を勧める。
もしもそれで障害がなければそれで良いのだし、もし障害があったのなら支援の方法を見つければよい。
障害があっても不幸ではないことやサポートの受け方、そして空の予後を見せることで
障害の受容に前向きになり、障害への恐れを克服し診断を受けてくれることもある。
当時に比べたら、発達障害に対しての理解は深まってきている。
けれど現在でも教師や医師らから診断を勧められたり、唐突に診断名を告げられ戸惑っているケースを聞くことがある。
診断を勧める前に、受ける前に、障害を受容する心を持てるように寄り添うこと
また障害に対して受けられるサポートなどを認識させ、そして予後の良いケースを
知らせておくことで、希望を持ちながら第一歩をスタートさせることができるのではないかと思う。
きっと今日も、発達障害を持つ子供の保護者は生まれているでしょう。
つらいことも数多くあるかもしれないけれど、どうか悲観しないで
多くの仲間の歩んだ道を尋ねてみてください。
困ったときは一緒に考えてくれるはずです。
受けられるサポートは受けて、頑張りすぎず、あせらずに
助けの手を求めて、手が差し伸べられたらどんどん掴んでください。
発達障害を持つ子どもならではの深く豊かな世界は、多くのものを与えてくれます。
そして、その子どもと出会えたことが幸運だっと思える日が来るはずです。
そうでしょ?皆さん♪