ウクライナの栄光は滅びず
自由も然り
【反転総攻撃が開始された】
栄光あれ!
『天使たちは大声でこう言った。「屠(ほふ)られた子羊は、力、富、知恵、そして賛美を受けるにふさわしい方です。」』ヨハネの黙示録5.1-13.12
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ブログ短編小説『ウクライナの夜明け』
この物語は、ウクライナ外国人義勇兵の「俺」が主人公である。
5月、この日の朝陽はいつになく心打つものがあった。
俺はソロキャンプに行くと、キャンパーがまだテント内で静かにしているなか、鳥たちが囀(さえず)る前にテントからそっと這い出る。
簡易ガスコンロにケトルをのせお湯を沸かす。そして三脚を立てデジカメを取り付け、日の出方向に向ける。簡易椅子に腰を下ろすと、ほどなくケトルが鳴き知らせる。ちょうどマグカップ三杯分のお湯が沸騰している。ドリップにお湯を注ぎ、ポタポタと茶色のお湯で満たされるのじっと待つ。これはいつものように神聖な儀式である。静寂な空気と一体化させるのが、この流儀なのだ。
前方の空が少しづつ朝陽が昇るのを、青から茜色、そして黄金色と変化しその時を知らせている。
珈琲を2杯啜りこみ、体内がほんのりと温まる。珈琲のカフェインが脳内の神経網を刺激していくのが分かる。瞳孔が開き、サングラス越しだが前方の光景がくっきりと見えてきた。
三杯目の珈琲をー口(ひとくち)入れ、息も飲み込む。
さあ、日の出だ。
俺はいつからか忘れたが、日の出(夕景にも)の光景にとりつかれているのだ。拝みはしないが、その神々(こうごう)しい光景。決して同じ光景を見せない、彼方の陽光と空である。
俺はある時、一様でない朝暘の光景に気づいた――
この光景だと、今日一日は良い日だ。この光景だと、今日一日に何かが起こり得るから要注意だ。この光景だと、今日一日は何事もなく平穏に過ごせる。そう感受し、そう実感した日々が脳にデータとして蓄積されているのだ。とは言え、これは占いじゃない。
5月、プーチン・ロシア軍が占領している東方から、真っ赤な陽光が大きな光彩を放って登ってきた。
今日の朝暘の光景はどうだろうか、と俺はウクライナ・ザポリージャの広大な麦畑の地平線を凝視していた。数分して、俺の脳から<今日は良い日だ!>とシグナルが届いた。俺はほっとし、深く息を吸い込んだ。
そして俺は、<ウクライナに栄光あれ! 俺たちに栄光あれ!>と、心の裡(うち)で祈った。
朝陽が昇り切り光彩が小さくなると、俺は反転して待機している外国人義勇軍装甲歩兵車両群に歩を向けた。
俺は分隊員にインカムで凛として命じた。
「我らが分隊よ! さあ、戦うぞ! 栄光あれ!」
皆が一斉に答えた。
「ウクライナに栄光あれ! 我らに栄光あれ!」
(了)