Donald Byrd。60年代後期の作品。この時代のByrdも良いですよ。
【No.361】
・Donald Byrd:Fancy Free (1969)
ハードバップ時代やMizell兄弟のプロデュース作品(【No.318、319】参照)が有名なDonald Byrdですが、60年代後半から70年代初期にも過渡期ながら魅力的な作品を残しています。本作はDuke Pearsonがプロデュースした69年の作品。Duke Pearson(el.p)、Frank Foster(ts)、Leo Morris(dr)等が参加。長い曲が多く全4曲。後にGrant Greenが「Live At The Lighthouse」【No.266】でカバーした「Fancy Free」を収録しています。この曲は凄く好きで、今もよく聴きます。Hancockの「Maiden Voyage」に通じる印象的なテーマが素晴らしい傑作だと思いますね。Duke PearsonのエレピやJerry Dodgionのフルートが気に入っています。約12分ちかい大曲ですが、飽きないです。続くバラード「I Love The Girl」もメロディーの素晴らしい曲で、エレピとByrdのトランペットが最高です。このA面のメロウな傑作2曲に対して、なぜかB面は60年代後半における典型的なBlue Noteのジャズファンク。「The Uptowner」はグルーヴィーで出来は悪くありません。この曲と「Fancy Free」のドラムはLeo Morris(Idris Muhammad)ですので、切れのあるドラムは流石といった感じ。ただラストの「Weasil」が、テンション・グルーヴ感含め、今ひとつな印象を受けます。A面が穏やかでメロウなジャズ、B面がジャズファンクという構成で、全体としては中途半端で傑作とは言えないですが、中々良いアルバムだと思います。A面の流れでアルバムをとおしていたら、少なくとも私にとっての傑作にはなっていたと思います(意味ないですね)。93年にCD化されましたが、残念ながら現在は廃盤です。本作はジャケも大好きですね。Amazonで
試聴できます。ちなみに、同傾向の作品としては、本作録音後の69年と70年の未発表セッションを集め、95年にBlue Note Rare Groove Seriesとしてリリースされた「Kofi」がありますが、こちらも廃盤。タイトル曲「Kofi」が「Fancy Free」そっくりだったり、Fosterのオリジナル「The Loud Minority」を収録していたり興味深い内容です。両方とも安く見つけたらチェックしてみて下さい。また、Frank FosterのMainstreamでの傑作として知られる「The Loud Minority」(1971)が、今年リイシューされてますので要チェックです。機会があれば紹介したいと思います。