Fritz Pauer。オーストリアのジャズピアニスト。MPSでのピアノトリオ作品。
【No.422】
・Fritz Pauer:Blues Inside Out (1978)
Fritz Pauerはオーストリアのジャズピアニスト。本作と同じくMPSに残された「Live At The Berlin "Jazz Galerie"」も、昔クラブジャズとしてよく紹介されてました。先のライヴにはグルーヴィーなジャズファンク「Understanding」やコンピ「Talkin Jazz Vol III」【No.328】に収録された「Modal Forces」といった曲が収録されてますが、アルバム全体としては本作の方が聴きやすいんですよね。正直Fritz Pauerは特別好きなピアニストではないのですが、アルバムの出来は中々です。8曲中、7曲がメンバーのオリジナルで「Prelude To A Kiss」のみカバー。「Prelude To A Kiss」は好きな曲ですね。先のライヴアルバムで参加していたドラマー Billy Brooksはいませんが、本作のTony Inzalacoもタイトなドラミングがカッコいいですし、コンポーザーとしての貢献度も大です(Terra Samba、The Beaconは彼の曲)。ベースはJimmy Woodsで先の作品と同じ。フュージョン全盛期にありながら、アルバム全体が硬質なサウンドで統一されているのがいいですし、収録されている曲も多彩で楽しめます。スウィング感のある「My Little Girl」や、よくコンピに収録されていた「Terra Samba」、力強くスリリングな「The Beacon」、ジャズロック的なアプローチもみせる「English Garden Walk」、Satieっぽいメロディーの美しい曲「Flute Song」あたりが聴き所です。ライヴもそうなのですが、Fritz Pauerのアルバムはクラシックの要素を感じさせる曲が入っていますね。HMVでは、非常に点数が低いですが、決して悪いアルバムではありません。人によっては傑作でしょう。輸入盤でCD化されており、現在も入手できます。日本盤も限定で発売されていましたね。