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テーマ:ё・ぼ・や・き・ё(1794)
カテゴリ:閑話
突如舞い込んだノア・三沢選手の訃報。心身を鍛え抜いた男達だけに許されるショーではあるものの、肉体同士のぶつかり合いは時として悲劇を生みます。志が同じ故に、相手の心のダメージも計り知れないでしょう。
============================== 高校を卒業して間もない頃・・・。 珍しく自宅でくつろいでいた私の元に届いたのは、通っていた道場総師範の死でした。 「先生が・・・稽古中に倒れてな。・・・胴衣来たまま・・・目ぇ閉じた。今自宅へお帰りや、すぐ逢いに来い・・・」 師匠からの連絡にハイと小さく答えるのが精一杯。玄関を出れば夕方頃から降り始めた雨足は次第に強くなり、文字通りバケツをひっくり返したような勢いへ変わっていました。 「ご無沙汰しております・・・この度は・・・m(_ _)m」 急を聞き駆けつけた近親者や関係者、先輩達の間を抜け、もの言わぬ総師範とそこへ寄り添う奥様の傍へ。 「お父さん、お父さん・・・イッキ君来てくれましたよ」 本名からもじった私へのアダナは、総師範が自ら命名したものでした。 ↓文字見たまんまですけどね。命名っても( ̄ェ ̄;)↓ 「稽古着のまま・・・寝てしもうたんよ、お父さん」 「先生、ご無沙汰しております、イッキですm(_ _)m」 返るはずの無い問いかけに代わり、奥様が口を開いてくれました。それは、最期を見守った者から伝えられたままだったのでしょう。 「若手の方に稽古付けてさしあげて、終わって防具を外した途端に胸が痛んだらしいんですよ・・・。皆さん、救急車呼んでくださったり、心臓マッサージしてくださったりね・・・。それでもあっけないものやね人なんて。今朝、いつも通り出かけたのにね」 ↓意外と安いのね( ̄ェ ̄;)↓ 最期の稽古相手となった剣士の自戒、それは筆舌に尽くしがたいものだったことでしょう。当然責める者は一人もなく、ほどなくしてからの復帰を温かく迎えたそうです。 「イッキ君!いやぁ~いい響きの名前ですよ、イッキ君!こうね、相手と対峙して、行くと決めたらら迷わず踏み込んでください。イッキに踏み込むんですよ。踏み込みながら迷っちゃいけません。ダァメです。考えるのは踏み込むまでですよ。後はイッキにいってくださいよ!」 今でも時々総師範の教えを思い出します。 総師範、残念ながらなかなか教えを実行することができません。怖じ気づき、焦り、迷い。まだまだそんな日々の繰り返しです・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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