建築基準法改悪で、住宅着工、前年同月比43%減
2007年6月20日に建築基準法が改正された。その直後に開かれた東京大学工学部建築学科の同窓会についてのブログの記事を見てみよう。Jul 6, 2007建築基準法がおかしい [ 建築・都市・建築家 ] 建築学科の同窓会があった。半年ぶりであったが、全卒業生の半分があつまり盛況であった。話題となったのは、去る6月20日に行われた建築基準法の改正についてであった。耐震強度偽装事件以来、国土交通省で進められてきた建築基準法の改正に伴い、建築設計の自由度が強度に失われ、これからの業務と瑕疵担保に大きな影響を与えようとしているという問題点である。そもそも、建築構造計算上の理論値より、マンション等の壁が多く、繰り返しの多い建物では、実際の強度はかなり大きく、また、構造計算上の想定により、構造計算上の理論値がかなりの幅に広がるという実務的な認識があるということである。耐震強度が偽装された建物が、早急に破壊されてしまったが、なぜ、破壊試験を実物でやって、固有値などの特性を検査し実証しなかったのか国土交通省側の取り組みが問題だという。現実に施工に携わる立場からすると、今まではかんがえられないような100mm程度の微小の調整も現場では出来なくなる可能性がでており、本当に意味のある規制なのかどうか問題であると言う。とにかく、改正建築基準法のありかたと、それの運用規則などのありかたについて、不満続出で、建築の設計ができないという議論が続出した。このままだと、近い将来、建築基準法の再改正または抜本的改革をする必要があるという意見が強いようであった。国土交通省のこの問題への取り組みの不自然さについて大きな不満が寄せられた。この時、国土交通省の建築基準法担当の同窓生は改正後の事後対策に追われて参加できなかったが、他にも、国土交通省の建築関係の役人も参加していた。本日の日経新聞によれば、国土交通省が耐震偽装の再発防止策として建築確認を厳しくした影響で、住宅着工が、前年度同月比で43%減と過去最大の落ち込みになっている。日本建築士事務所協会連合会は、10月2日、「運用の改善だけでは混乱は解消しない」として建築確認の緩和を要請したという。国土交通省や「法改正の方向は正しい」として運用面の改善で対応する構えだという。一方、建築士側は、「現場の実態にそぐわない部分もあり、制度の再改正が必要」と申請後の修正の容認などを求めたと言う。そもそも、建築基準法を作ったり改正したり、それにもとづいて確認審査した官僚組織は現実に建物を設計や施工した経験のない官僚で固められているのではないかという疑惑は消えない。このような体制のもとでできた法律改正が現実の設計、施工に馴染むのはそう簡単なことではないと考えられる。