随分と前にお約束していましたおからの件、
一連の虫の話が終わりましたので、
長々と書かせていただくことにします。
おからとウツギの花との関係を語る前に、
まずはおからという言葉の本質について
語らねばなりません。
おからとは、豆腐を作るときに生じる大豆の搾り
かすがその正体なのですが、そのことについて
改めて説明するまでもないでしょう。
このとき、大豆を水に浸してすり潰した汁を
<ご(豆汁、豆乳)>
といい、そこから搾り取ったものが「豆乳」、
残りの搾りかすが「おから」ということになります。
豆乳ににがりを混ぜれば豆腐が出来上がります
が、搾りかすであるおからは基本的にゴミのよう
なもので、スーパーでも二束三文程度で売られて
います。(某スーパーでは、300g入りで55円。)
ちなみに、おからは産業廃棄物として処理されて
いますが、最近はバイオエタノールの原料として
利用するための研究もなされているようです。
ただ、食物繊維が豊富で、しかも各種の栄養価も
軒並み高い優秀な食材であるものの、日持ちが
しない上に、もそもそした食感が嫌われる原因に
なっていると思われます。
おからクッキー さて、おからという言葉の語源ですが、上でも述べた
とおりに、豆乳を作る際に生じた大豆の「殻」がおから
の正体ですから、そこに丁寧を意味する接頭語の
「お」をつけた「御殻」ということになります。
ところで余談になりますが、おからのような発生の
仕方をした言葉は他にも多くあり、それらは
「女房言葉」
と呼ばれています。
ある言葉の一部を取り出し、ときにある程度の加工を
された後に、その語の頭に「御」がつく形で女房言葉と
なりました。
女房とは、宮仕えの女官や貴人の侍女などのことで、
彼女らが少し気取って使用した言葉が女房言葉という
ものだったのでしょう。
単に短くして言いやすくしたもの(おたま、おかき、おでん等)
や、言葉が持つ本来の意味をぼかす(おなら)ための
言葉みたいですね。
現代でも普通に使用されている言葉の中にも、意外に
多くの女房言葉があるとお分かりになれば、驚かれる
こともあるのではないでしょうかね。
しかも、男が堂々と口にしている訳ですから。
閑話休題
ただ、忌み言葉を嫌う日本人の性質からも理解できる
ように、おからという言葉の「から」の響きが「空」に
繋がるという意味で、「きらず」と呼ばれることもあります。
「きらず」とは、包丁を使用せずに調理ができるという
ことで、「切らず」が語源だそうです。
その「きらず」には当て字もありまして、「不切」「雪花菜」
「雪花菓」といった漢字が当てられます。
おからが大豆の搾りかすという事実をはっきりと表現
することを嫌ってか、見た目の白さを強調した「雪」と
いう漢字を当て、きれいな見た目を強調したかった
のでしょうね。
現代でも豆腐製造に必ずつきまとう、おからが引き
起こす『ゴミ問題』はかなり深刻なようです。
表現の仕方を変えることで人々に好印象を与え、その
由々しき問題を何とか食い止めたかったのだろうかと、
少し想像してしまいました。
そのように考えると、おからをいちいちゴミとして処理する
よりは、商品として売りさばくほうが一石二鳥ということに
なります。
ゴミ問題はさて置きまして、そのおからにはもうひとつの
呼び名があります。
見た目の白い色から「雪」という字が当てられましたが、
別の観点からある植物の花に例えられました。
では、ここでクイズと参りましょう。
その植物とはウツギのことです。
ウツギは5月頃に白い花を咲かせるのですが、その花
の呼び名がおからと同じ意味を持つ言葉になっています。
さてその別名の、「ウツギの花」という意味を持つ言葉
とはいったい何でしょう?
(ほぼ、そのままの言葉ですがね。)
ウツギの花 posted by (C)sasama_tea
では、また明日。
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