おからの別名についてクイズにしましたが、
早速その答えと参りましょう。
おからの別名、それは「うのはな(卯の花、卯花)」
でした。
ウツギ posted by (C)sasama_tea
撮影日は、去年の5月20日。
昨日の画像は花そのものを見ていただくために
近づいて撮影したものでしたが、こちらは少し
離れて全体が分かるようにしたものです。
農家さんの近くの道路端に生えているウツギの
大きな木で、奔放に伸びた全ての枝に白い花が
びっしりと咲いていました。
咲き誇るその姿は、まるで雪が降り積もったよう
でもあります。
つまり、ウツギの開花期のこのような姿から、
おからの別名「雪花菜(きらず)」の雪の形容に
至ったということがお分かりになることでしょう。
さて、ウツギを漢字で表せば「空木」となり、材の
中心が空洞であることに由来しています。
また、花が5月、つまり卯月に咲くことから、その
花を「卯の花」と呼ぶということです。
(さらには、「空木の花」が縮まって卯の花となった、
という説もあります。)
(「卯月」の由来は、卯の花が盛んに咲く「卯の花月」が語源とか、
稲の種を植える月の「植月」が語源とか、いろいろあるようです。)
ウツギの花の白く、雪のように降り積もる光景と
おからの白い様子が重なり、「うのはな」の別名
を持つことになっている訳です。
その白い花が雪のように咲く光景を、昔の歌人は
好んで題材にしたようで、野鳥のホトトギスと並び
初夏の季語として扱われるそうです。
そして、その卯の花は、雪・月・波・雲などに例えら
れたとのことでした。
私はそのものを知りませんが、童謡の『夏は来ぬ』
の一節に、
~卯の花の 匂う垣根に 時鳥(ホトトギス)・・・
というものがあり、ウツギの花に香りがあると誤解
されている方もおられるようですが、実際には全く
香りは無いのです。
じつは、「匂う」という言葉には、実際に匂いがなく
ても、匂いが感じられそうなときにも使われること
があります。
「事件の匂い(臭い)がする」などという表現がまさ
にそれですね。
別の観点で、「花が笑う」とか「5月の風が薫る」と
いった表現からも、「匂う」の言葉の背景が見えては
きませんでしょうか?
卯の花には香りがありませんが、溢れるほどに
白い花が咲く姿には、視覚的に香りが感じられる
ということなのでしょうね。
美しいものに必要以上に感覚が増幅されてしまう
という、ある種の錯覚が呼び起こす奇蹟、と表現
するのは少々やり過ぎですかな?
まぁ、そのようなものでしょう。
さて、おからから始まり、ウツギの花へと続いた
今回のお話でしたが、いかがでしたでしょうか?
少々省略した部分や、知識としては不充分な部分
もあって完璧な出来には程遠いですね。
ただ、道筋を示す手掛かりを示すには充分な内容
を詰め込むことができたような気がしますから、
皆さんの探究心をくすぐるお手伝いができましたら
光栄です。
ブログランキングへの投票はこちらから ちなみに、『卯』という字は干支の「うさぎ」を表す
字でもありますから、その毛の白さと卯の花に
関係があるようにも考えられますが、そもそも毛が
白いウサギは飼いウサギ。
野生のウサギが白いのは、雪の中での保護色と
なるように生え変わった冬毛の時期だけで、双方
を結び付けるには無理がありそうに思います。
しかも、本来の漢字の『卯』にはウサギの意味は
なく、扉を押し広げた様子を表す象形文字なのだ
そうです。