叩きつけるような激しい雨が午前中に断続的に降りましたが、
午後になるとそれも収まり、夕方には青空も見えていました。
私はといえば、雨にかかわらず所用で散策は中止。
花が見に行けるかと、少しばかり上の空だったりします。
エゴノキ、ビナンカズラ、ガマズミ、ウツギ・・・散らないで。
泣き言はこれくらいにしまして、本題へ移ります。
そろそろ、入梅の声が聞こえてくる時期に入り
ましたが、私の好きなネジバナが咲き始める
時期でもあります。
そこで、ネジバナの本格的な時期に入る前に、
昨年の夏から行なっているネジバナの実生に
関する情報についてこちらでまとめてみたい
と思います。
実際に行なった作業について記す前に、
簡単にネジバナの年間の生活史をまとめます。
1 ネジバナの生育地
まず、ネジバナは言わずと知れた・・・
かどうかは定かではありませんが、ラン科植物
では大変珍しい、人の世界にぴったりと寄り
添って生きる植物です。
主に公園や庭の芝生に生えることが多く、
造成から3年目くらいからネジバナの花を見る
ことが多いようです。
あるいは、宅地造成されたまま建築がされずに
放置されるも、定期的に草刈りされるような場所
にもよく見られます。
少し変わった場所では、道路の中央分離帯も
好むようですね。居心地が良いみたいです。
ネジバナは、周囲に丈の高い草や、クローバー
やオオバコのようにマット状に繁茂する草が
地面を覆うようになると、その窮屈さに耐え切れ
ないのか、いつの間にか姿を消してしまうことが
多いです。
元来、それほど競争力の強い植物ではない
のでしょう。
2 ネジバナの生活史
ネジバナは多年草ですが、早いと5月下旬、
通常は6月中旬に入る前には花が咲き始めます。
名前の由来となっている捩れた花序は、下側の
花から上へと順々に咲き進み、ひとつの株では
2週間程度花が咲いた状態になります。
(ちなみに、ひとつの花の寿命は1週間程度です。
もうひとつおまけに、個体差もありますが、ネジバナの花には
甘い香りが感じられます。日中の気温の高い状態が香りも
強くなります。ぜひお試しください。)
基本的に自家受粉はしないようで、虫の来ない
場所で栽培したネジバナの花が結実することは
ありませんでした。
もしも花が虫による受粉を経て結実に至ると、
およそ2週間もあれば果実は熟し、あっという
間に熟したタネを放出してしまいます。
おそらくタネが小さい上に、ラン科植物特有の
胚珠を持たない構造であるため、受粉から完熟
までの期間が極端に短いのでしょう。
そうしてタネを放出して満足したネジバナは、
地上部を完全に枯らし、暑い真夏の間を地下で
過ごす『夏眠(かみん)』の期間に入ります。
その後、8月下旬頃から9月上旬にかけて再び
地上に顔を出し始めます。
このときの葉は夏場に見られた立ち上がる葉に
近いものですが、秋が過ぎ、冬に入る頃には
幅が広く長さの短い『冬葉(ふゆば)』の形態を取り、
ほとんどの植物が地上部を枯らして空いた場所
を有効利用するため、タンポポのようなロゼット
と呼ばれる地面にぴったりと伏せた状態で葉を
広げることになります。
(ロゼットでは、光合成を効率的に行なう役目だけでなく、
寒風に晒されて凍りつく危険も回避しています)
そして、冬場を冬葉で乗り切ったネジバナは、
桜の咲く時期あたりに状況がまた変わります。
ロゼットから徐々に卒業し、それまで丸みを
帯びていた葉を、『夏葉(なつば)』と呼ばれる
長細く立ち上がる葉に変えていきます。
ちょうどこの時期、その夏葉の中心から花茎を
伸ばし始め、最初に書きましたとおりに開花と
なるのです。
(ちなみに、通常の開花期以外にも、9月に入ってから開花する
秋咲き個体も存在しますが、実際にその生活状態を見ていない
ためにどのような生活史があるのか不明です。)
ネジバナと苔 posted by (C)sasama_tea
ネジバナは苔と相性が良いです。
3月29日現在のネジバナは、ちょうど冬葉から
夏葉へと遷移する状態でした。
3 ネジバナの受難
ネジバナの居心地の良い場所はすなわち、
人の居心地の良い場所でもあります。
つまり、ネジバナは雑草のごとき存在であり、
ちょうどこの時期は、丈を伸ばして鬱陶しく
なった雑草を刈る時期でもあります。
ということは、今まさに花を咲かせようとして
いるネジバナをザックリと切りつけることでも
あり、その双方の時期がぴったりと重なった
場合は、花茎を丸ごと切られてネジバナの花
が見られない事態に陥ってしまいます。
「やめて!」と懇願する訳にもいかず、
ただただ、刈られていく姿を断腸の思いで
見守る外ありません。
悲しいですね。
さらには、住宅造成地に生育している場合も、
上に家が建てば永遠に消えてしまう運命に
晒されてしまいます。
この場合、成す術がないです。
他にも、子供に摘み取られて、興味がなく
なってポイ捨てされたネジバナの花を見かける
こともたびたび。
どうせなら、花瓶にでも生けていただきたい。
・・・と、sasama_tea目線でいろいろと書いて
きましたが、いかがでしたでしょうか?
今日は前置きだけの、文章だらけで見づらい
構成だったかもしれませんが、明日は写真を
用いた、ネジバナを実際にタネから栽培する
様子をご覧いただけるようにします。
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足許にもランの花 【第1回 雑草蘭?】
(↑参考となる過去記事)