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カテゴリ:見て面白かったもの
あれ? これ、管仲の話だよね? と思って表紙を確かめてしまいました。「管仲」というタイトルなのに、初めは鮑叔がお話を引き回しているんです。
はじめ管仲は鮑叔の先生役で、脇役の一人のような扱いをされています。でもいい面もいけ好かない面も、話を追うに連れて妙に魅力的に感じられてきます。ああ、こいつは何かするな、と思えてくるんです。 鮑叔が画面の大半を占めている間は明るい鼓動が感じられるのですが、管仲が主役に代わった途端に暗く、重くなります。能力があって実行力もあるのになかなか他人に認めてもらえず、鮑叔のように堂々と真ん中を歩いていけないのです。そんな中で、鮑叔だけは管仲の才を買ってずっと支え続けます。 そんなふたりが斉という国の二人の別の公子の後見役となってから、それぞれの公子を盛り立てようとして競い合います。両者ともそのために全力を尽くして戦うようになるのですが、絶対の利害が食い違うようになっても、そのそこには強い気持ちの通い合いがあります。それは最後まで変わる事がなく、時に殺伐とする戦の中でも、さわやかな気分が続きます。 魅力的な女性も多勢出てきて物語を膨らませてくれるのですが、自分の信条によって相手に矢を射ることがあっても、お互いを認め、信じられるような関係こそがこのお話のいちばん清々しいところです。 史書に残っているのは事実のみであり、それを汲み上げて血肉の通ったお話を作り上げる宮城谷さんの力は本当に素晴らしいです。中国の歴史ものということで敬遠される方も多いと思いますが、ぜひ一度手にとって見てください。生きていくのが楽しみになってくるようなお話です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 20, 2006 11:02:38 PM
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