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今日は出張でした。久しぶりに大都会の地下鉄網を乗り換えながら目的地に近づかなければいけなくて、鬼門の大手町でやはりトボトボと数百メートル歩くことになりました。無機的な地下鉄の通路を歩いていると、読みかけのこの本、「アキハバラ@DEEP」の描写と重なる部分もあったりしてちょっと楽しかったです。
帰りはJRを使おうと地上を歩いていたら、道に迷って一駅分歩いてしまいました。天気がよくて暑かったのに・・・(;_;)パソコンを持っていたのに・・・(;ヘ;) 中途半端な時間の東京の町は、あまり人が歩いていませんでした。 以前はよく出張の帰りに秋葉原に寄ったのですが、オタクの街化してからは行っていません。オタクがイヤだからではなく、かなりのものがネットで自宅で手に入るようになったからです。今私のうちにある稼働中の4台のパソコンはすべてネット購入だし、増設や周辺機器もすべてネットで手に入れています。 全国的に地域にある書店が次々に潰れていっているのは、やはりネット販売によってお客さんが減っているからだと思います。私も8割はネットで本を買っています。でも、実際に本屋の中を歩いてみないと起こらない出会いというのもあるわけで、池袋や新宿、六本木に行くときは必ず本屋でけっこうな時間を費やします。そして数万円分の重い本を買い込んで途方に暮れることもしょっちゅうです。秋葉原も、池袋も、実際に足を運んで初めて実感できることというのはたくさんたくさんあるのです。 池袋ウェストゲートパークのシリーズもそうですが、石田さんは街の空気を表現するのがとてもうまいです。この本を読んで10年以上も行っていない秋葉原の空気を思い出すことが出来ました。販売しているものが変わっても、後ろで流れている空気は変わらないようです。クリスマス近くに何軒も店を回って、そのころの給料一回分くらいの金額のパソコンを買って、届けてもらうのが待ちきれないのでそのままお持ち帰りをしたことを思い出しました。 現時点で、秋葉原は間違いなく日本で一番特定の目的、指向を持った街です。他のどこにもこんな街はありません。どの街も「あれもしたいし、これも必要だ」というスタンスで開発されていっています。お話の中にも出てきますが、衣食住について、この街ほど重要視されない街はないと思います。ひょっとしたら日本以外を含めてもそうなのかもしれません。こんな面白い街が舞台でも、その空気が読めない人間はオタクの生態をおもしろおかしく捉えるだけで終わってしまいます。石田さんはアキハバラの空気を現実以上に明確に読み取っているようです。 さて、お話のほうですが、構成は「波の上の魔術師」に近いような感じです。ある技術を極めていく人たちの出会う事件が題材です。ただし秋葉原という特殊な街の持つ空気がかなり濃く物語を覆っているので、IWGPのような印象もあります。 しかしこの話で一番の特徴は、これがSFだというところです。SFファンの目からすると、うーんというところもあるのですが、それでもこれはSF以外の何者でもありません。「月は無慈悲な夜の女王」とか、ギブスンのサイバーSFのシリーズとつながるような、とてもスリリングなお話です。 ただ一つだけ許せないのは、話の初めの方から主人公たちの行動が成功したと匂わせているところです。せっかくのスリリングさがこれで80%ほど弛んでしまっています。これをしなければギブスン並みのスピード感を得られただろうにと思います。 それでもこの本はとにかく面白いです。この本のために貴重な睡眠時間をずいぶんと削ってしまいました。それでも本のパワーを受けて、睡眠不足はまったく表に出てきませんでした。面白くて、元気が出る。これはそんなお話です。 実写化されたんですよねえ・・・電車男みたいに見る人の感覚に合わせて微調整されるんでしょうが、それもとても複雑な気分になりそうで。生のままでやると、かなりの人が不快感を持つとは思いますが・・・(^_^;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 1, 2006 12:09:02 AM
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