平成28年度社会保険労務士試験について
11月11日に、平成28年度社会保険労務士試験の合格発表がありました。平成28年度の試験の受験申込者数 51,953人(前年52,612人、対前年 1.3%減)受験者数 39,972人(前年 40,712人、対前年 1.8%減)そのうち、合格された方は 1,770人でした。合格された方、おめでとうございます。で、合格率は 4.4%(前年 2.6%)です。昨年の合格率に比べると高くなっていますが、5%を下回っており、過去2番目に低い水準です。そこで、平成28年度試験の合格基準ですが、<選択式試験>総得点23点以上 かつ 各科目3点以上 です。ただし、「労務管理その他の労働に関する一般常識」、「健康保険法」は2点以上です。<択一式試験>総得点42点以上 かつ 各科目4点以上 です。ただし、「労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識」、「厚生年金保険法」、「国民年金法」は3点以上です。選択式の基準点、総得点としての23点というのは、問題の質から考えると、少し低いイメージがありますが、全体的に得点を伸ばすことができなかった受験生が多かったということでしょう。科目別の基準点は、2科目の引き下げで、いずれも出題内容から、得点し難い空欄があり、厚生労働省発表の平均点でも、2点を下回っているので、順当なところでしょう。「健康保険法」は、数字関連の出題が多く、そのような出題があると、科目別の基準点が引き下げられるということが度々です。「数字」関連は、正確に覚えていないと、正答を選べませんから、その辺で、得点が伸びなかったのではないでしょうか。「雇用保険法」も平均点が低く、2.2点となっていましたが、基準点を引き下げると、基準点に達する受験者数の割合がかなり高くなることから、引下げが行われなかったようです。択一式については、平成23年度から25年度まで3年連続の46点、平成26年度と平成27年度は45点でした。ですので、これらに比べると下がっています。これは、個数問題が増加したり、事例問題が多く出たことから、苦戦された受験生が多く、得点が伸び悩んだというところからでしょう。また、科目別の基準点について、3科目の引下げというのは、平成16年度試験以来ですが、たとえば、年金に関しては、応用的な問題に十分対応できていない受験生が少なからずいたため、正解率が下がり、基準点の引下げにつながったのではないでしょうか。平成27年度においても、合格基準点が極めて高かったわけではないにもかかわらず、合格率が低く、平成28年度においても、問題、基準点との関係で考えると、やはり、合格率が低いという感じです。これは、基本がしっかりとできていないことにより、正解すべきレベルの問題で正解することができないという受験生がかなりいるのではと推測されます。また、基本がしっかりできていないので、応用的な問題に対応することができないというところもあるのではないでしょうか。ですので、平成28年度試験は、残念な結果になった方、平成29年度試験の合格を目指すのであれば、まず、当然、基本を確固たるものとして、「正確な知識」を身に付けて、得点できる問題を確実に得点できるようにしていきましょう。それに加えて、ここのところは、事例の問題がかなり出ているので、そのような問題に対応することができる応用力を養うようにしましょう。