ここでは、被術者を椅子にかけて行うことに仮定して説明します。
初めての被術者は不安に感じる人もあるでしょうから、そのような人には、気持ちを落ちつかせるために、目を閉じさせて十秒間ぐらい(呼吸を三回ぐらいする間)静かにしてもらいます。しかし催眠術にいささかも不安を感じない人、又は催眠術の本を読んだことのある人、又は催眠術を見たことのある人に対してはこの必要はありません。
「では、これから催眠術をかけます。。私が、「はい」、と合図をしますと、その瞬間に催眠術がかかって、その手がばんざいをするようにうえにあがっていきます」
と言ってから、普通の小さい声で、
「はい」と合図をします。
すると、両手がだんだんと上へ上がっていきます。
「そう、だんだんと上がります」
上へ上がったら、「今度は下へ降りていきます」というと、暗示のとおりに下りていきます。
「今度は、両手が顔にくっつきます」
「はいッ」
「もう、その手が離れません、ためしてみてください」
というと、被術者は自分の手を額から離そうとしても離れません、どんなに力を出しても離れません。(あるいは離そうとする気力がなくなることもあります)
催眠法は、言葉の暗示を脳に感応させる方法ですから、このように暗示だけでしかも瞬間にかけることができます。