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カテゴリ:催眠療法
あれは、平成になるかならないかのときでした。
患者は、男性、60歳前後で、私より少し背が高かったような気がしますから、175センチ以上あったかもしれません。体重は、がっちりした体格でしたから、80キロぐらいはあったでしょう。 その方は、仕事中にてんかん発作を起こしては、救急車で運ばれ、1、2日入院することを、年に一、二回、最近はその頻度が多くなりつつあるということでした。 当時私は、その方と一緒の建設会社に勤めていました。 ある現場で、家屋の解体をしたとこのことです。私とその方ともうひとり、三人で仕事をしていたのですが・・・ 3tトラックに解体した廃材を満載して、近くの田んぼまで運んでいた時のことです。 距離にして、現場から荷卸をする田んぼまで、100メートルはなかったと思いますが・・・ 田舎ではあるし近くだからと、私が運転し、もう一人の人が助手席に、その人は、廃材を満載した荷台の上に乗っていて、現場に着いたら、発作の真っ最中でした。 私は、てんかんが催眠術でなおること知っていたし、その人が数ヶ月前、てんかん発作で救急車で運ばれ入院した事を聞いていたので、少しもあわてず、トラックの荷台に上がり、 「力がぬける、どんどん力がぬける・・・だいじょうぶですよ」 「ほら力がぬけて、楽になります」 と、暗示を与えました。 すると、すぐに力が暗示の通り抜けてきて、正気を取り戻されました。 4、5分後には、自分でトラックの荷台から降りられました。 「少し休んでいて下さい、私たちが荷を降ろしますから・・・」 ほんの少し休んだだけで、 「もうだいじょうぶだから」と、仕事に復帰されました。 発作中でも耳は聞こえています。的確な暗示を自信を持って与えれば、発作はすぐにおさまります。 「てんかんは、催眠療法でなおりますから後でなおしてあげましょう」 と、いうことになって、その日の仕事が終わって、帰りにその人の家によって催眠療法を行いました。 長尾式瞬間催眠法で催眠状態に誘導して、 「てんかんは今日限りになおった」 「今後、病気が再発するようなことは絶対にありません」 「てんかんは完全になおった」 というような暗示を与えて、催眠療法を終わりました。 その後しばらくして、私はその会社を辞めましたが、数年後、残っていた他の従業員の方に、 「あの人はあの後どうでしたか?」と聞きましたところ、あれ以来、発作は起きず元気にされているとのことでした。 てんかん発作も人によりいろいろありますが、その人の場合、発作が長く続くタイプのようでした。だから救急車で運ばれていたのでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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