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カテゴリ:催眠
ここでは、家庭などで被術者を椅子にかけさせて行うことに仮定して説明します。
催眠術を見たこともなく、初めての被術者は不安に感じる人もあるでしょうから、そのような人には、気持ちを落ち着かせるために、目を閉じさせて10秒間ぐらい(呼吸を三回ぐらいする間)静かにしてもらいます。しかし催眠術にいささかも不安を感じない人、または催眠術の本を読んだことのある人、または催眠術を見たことのある人に対してはこの必要はありません。また公会堂などで公開実験を行う場合に、観衆の中から舞台に登場してもらった人に対しては、たとえ催眠術を見たことのない初めての人であっても、催眠術に理解を持っている人と見てよいのですから、気持ちを落ち着かせる必要はなく直ちに催眠術をかけます。 「では、これから催眠術をかけます。私のほうを見てください。私がするように、あなたの片方の手のひらを、あなたの額にあててください、それでよろしいです。目を閉じてください。私が、『はい』、と合図をしますと、その瞬間に催眠術がかかって、その手が離れなくなりますよ」 と言ってから、普通の小さい声で、 「はい」と合図をして、 「もう、その手が離れません、試してみてください」 というと、被術者は自分の手を顔からはなそうとしても離れません。どんなに力を出しても離れません。(あるいははなそうとする気力が無くなることもあります) 「立会人の方、どうぞ、その手を引っ張ってみてください、遠慮しないで強く引っ張ってください」 立会人が被術者の手を強く引っ張ると、被術者のからだが前へまたは横の法へ引っ張られてくるだけで、手は決して離れません。 「では、私がまた合図をしますよ、するとその手が額から離れます。合図をしますよ・・・・・はいッ」 と、この合図で被術者の手が離れます。 これと同じように、被術者の両手の手のひらを被術者の頬にあてさせて、合図をすると、その手が離れなくなったり、あるいは膝においた両手が、合図一つで万歳をするときのように次第に上がったり、また下がったりさせることもできます。腰をかけている椅子にお尻がくっついてしまって立てなくなったり、机の上に手のひらをあてると、その手がとれなくなったり、その他、いろいろと術者が与える暗示通りになります。それは物理的に可能なことはできるのであって物理的に不可能なことは、たとえば大きなビルディングを飛び越えることはできません。 ただ催眠術の暗示を与えて、幻想、幻視を起こさせることな可能です。たとえば鳥になって東京湾の上空を横断するような幻想を起こさせたり、音(音楽その他)がしないのに音が明らかに聞こえてくるような幻覚を起こさせることはできるのです。私は公開実験の際たびたびこのような実験を披露してきました。 さて、話は元へ戻りまして、前述のように手がくっついたり、腰が立たなかったりする簡単な実験をすることによって、催眠術が瞬間に完全にかかったことを、相手にも立会人にも立証できるわけです。そこで適切な暗示を与えて、病気(催眠術治療の対象となる病気)をなおしたり、悪癖または非行を矯正することができます。ただ一回の施術でその効果は確実であります。 私もできるだけ早く、長尾盛之助先生のレベルに達したいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.05.23 09:32:16
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