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カテゴリ:実はこれが好き
マクシミリアン=ロベスピエール。彼を好きだという人はあまりいないでしょう。
フランス革命期の独裁者として有名で、国王ルイ16世を初めとして、幾万の人物を処刑したことで知られています。また、彼の行った恐怖政治テルールは、テロの語源にまでなっているほどです。 ですが、こういった姿勢は彼の政敵が死後に流した評価であることが多く、必ずしも正当と言えるかどうかは疑わしくあります。基本的に評価は敗者に厳しくなりますから、当時の人々の証言や記録をしっかりと調べる必要があります。勝者が自らを正当化する為、敵対者を悪し様に言うことが多いものですしね。 さて、彼の足跡を辿りますと、彼は元々フランスの弁護士でしたが、フランス革命においてジャコバン派を率い、革命を押し進めたリーダーです。(余談ながら、右派左派という言葉は、この時に生まれました。彼らは、元祖左翼というべきかもしれません。もっとも、右派左派は時代や状況によって目まぐるしく変化しますので、定義は非常に複雑です。例えば幕末の維新志士達は当時は左派というべき存在でしたが、現在ではむしろ右派の系譜です) 国王や政敵であったジロンド派を追い落とした彼は、共にあった仲間すら粛清の対象にしてしまいます。そして最後はそれまで日和見をしていた集団に反旗を翻され、断頭台の露と果てるというものです。また、彼が打倒されたテルミドールのクーデターまでをフランス革命という学説が有力ですので、その意味において、まさに彼はフランス革命の象徴とも言える存在だったのでしょう。 彼の性格を一言で言うなら、真面目な人物だったと言えるでしょう。彼は清廉の士と呼ばれるほど、不正や腐敗とは無縁の人物でした。 また、彼は弱者の味方でもありました。強者が儲ける自由よりも、弱者が生きる権利の方が重要だという趣旨の言葉も述べているくらいです。もちろん、これは自由を軽んじているのではなく、自由はまず生きる権利の上にあってこそ意味があるものだからです。 他にも、ルソーを信奉していた彼は、処刑そのものにも革命当初反対していたことも付け加えるべきでしょう。 彼にとっての不幸は、フランス革命期という前例が皆無に等しいほぼ手探りの状態で進まなければならなかったことにあるのではないでしょうか。フランス革命という激動の時代にあって、強権を振りかざさなければならなかったことは、彼の理想とは完全にかけ離れていたのでしょう。そうまでしなければ政治的自由を嫌う当時の保守諸国から守ることの出来なかった自由という火種もまた、歴史の1つの節目だったのでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 18, 2005 08:03:35 AM
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