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カテゴリ:実はこれが好き
久々のこのシリーズはまたもやフランス革命よりルイ16世。
正式名称ルイ=ド=フランス。 まあ、後世のこの人への評価は散々なものです。 能なしだの情けないだの、確かに国王に向いている人物ではなかったことは事実ですが、少々言われすぎのような気もします。 最近では再評価が進んでいますので、それについて少々解説を。 まず、かれは理系に非常に強かったことが挙げられます。 それは彼の趣味の1つでもあった錠前作り。 単なるプラモデル作りと一緒にしてはいけません。ルイ16世は自分自身で錠前を設計していたのですから。 これは、現代風に言えば建築の技能がなければ出来ないものなのは、少し考えればすぐに分かることです。緻密で高度な計算を必要とされるのですから。 次に、船のことに関する知識は専門家も舌を巻くほどであり、どうやら自分の好きなジャンルにはとことんのめり込む人物であったようです。 おたくと言ってしまえばそれまでですが、懸命に打ち込めるものがあるということ自体、少なくとも現代の価値観で言えば、褒められこそすれ、非難されるべきものではないでしょう。 彼の妻は言わずと知れたマリー=アントワネットですが、遊び好きで浮気を常時繰り返す彼女に対しても、一途に尽くしていました。 非常に家族思いで、子ども達を大変可愛がったり、あるいは貧しい人々の暮らしに同情する、当時の貴族としては画期的なほどに優しい人物だったようです。 というのも、当時の貴族は貧しい人々の暮らしなど何処吹く風、それを当然とすら見ているものです。もう少し後の時代になりますが、かの有名なコナン=ドイルのシャーロック=ホームズにも、一般庶民の娘を騙して利用する(結婚詐欺/苦笑)シーンがあるほどです。(ホームズは大地主、すなわち上流階級の息子という設定である為)それよりも以前の絶対王政の時代にあって、その頂点に立つ国王自身が貧しき人々の生活に涙することは、それが行動に結びつかなかったとはいえ、十分に優しいと評価して良いのではないでしょうか。 彼の優しさが最大限に発揮されるのは、皮肉にもタンプル塔に幽閉されて以降のことでした。 タンプル塔に幽閉されることによって、初めてマリー=アントワネットが夫の深い愛情に気づき、家族が1つになることが出来たとされています。 処刑される際も、全てを許すと言った趣旨の言葉を残していますし、やはり彼の優しさは激動の時代の国王という座にこそ向かなかったものの、仮に違う生き方があったとすれば、とても実りのあるものだったと言えるのではないか、そう思わずにはいられないのです。 結局彼の家族でその後も生き残るのは、長女のマリー=テレーズのみなのですが・・・父親に似た優しそうで愛くるしい瞳の持ち主であった彼女が、後に復讐鬼とまで化してしまうのですから、人生というものの残酷さを感じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 12, 2005 10:59:28 AM
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