HOBBY STYLE

昨日、日比谷　日生劇場にて、ミュージカル「ジキル＆ハイド」を見てきました。
世界的大ヒットした（らしい）作品を主演　鹿賀丈史 にて公演、ということで、
あの名作「レ・ミゼラブル」の再来なるかを期待していたのですが、如何に？

さて、私自身は年に数度、演劇やミュージカルの舞台を見るのみの素人です
ので、あまり大それた評論などできないのですが、エンタメ作品の一つとして
あえてレビューしておきましょう。

結論から申し上げると、こんなことを、一応、公の場所にて、バッサリ言い切って
しまっていいのか分かりませんが、「シナリオが甘い」という印象を持ちました。

あらすじは言わずもがな、薬品実験によって二重人格者となってしまった医者の
悲劇的な末路を描く、という作品で、今まで数多くの映画化がなされており、
数年前には、ジュリア・ロバーツと今をときめくジョン・マルコビッチ共演の
映画も制作されているそうです。ちなみに原作は未読です。

本舞台では、鹿賀丈史演ずるジキル博士が、その裏の人格であるハイド氏との
精神の狭間で葛藤しつつ、そこに婚約者のエマ（茂森あゆみ）や
偶然知り合った夜の女ルーシー（マルシア）への愛情に揺れ動く、というもの
で、設定に反して、大変分かりやすいのですが、それゆえに深みに欠けています。

例えば、まるで有名作へのオマージュともおぼわしきシーンがいくつか現れる
のですが、ジキルを挟んで、エマとルーシーが自らの愛を歌い語るシーンには、
「ミス・サイゴン」における、女性の怨念めいた凄まじいほどの執念は微塵も感
じらませんし、一方の恋人の最期にしても必然性がありません。

二重人格に苦しむジキルについても、鹿賀丈史の熱演空しく、やはり、シナリオ
的に掘り下げが足りず、「レ・ミゼラブル」におけるジャン・バル・ジャンの
魂の叫びほどの情熱を感じ得ることができません。

ミュージカルの要というべき歌については、マルシアのまさに体を張った演技は
光りますが、他は及第点といったところでは？鹿賀丈史の歌も歌唱力よりは、
二面性の演技を重視したものなのかな、と思いました。

ということで、私には物足りなかったのですが、よりミュージカルを見慣れた
他の方の意見も聞いてみたいので、是非、感想ください。

あまり関係ないのですが、家に着いてから、「ミス・サイゴン」日本公演の
プレビューＣＤを繰り返し聞いてしまいました。本田美奈子の歌は本当に素晴ら
しく、舞台を見て、私も涙しました。この作品もシナリオに深みと言えるものは
ありませんが、彼女の歌と、ゴージャラスな舞台装置、合唱の素晴らしさだけで
も観る価値があります。この作品における本田美奈子の歌は、本場ロンドンの舞
台（これだけは観に行きました。自慢！）を超えるほどの絶品で超オススメです。

【オススメ度】★★（５段階）　
　「ミス・サイゴン」は＋★★