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昨日、本屋で彼の本が久々に、ふと目に入ったので、
どうもこの「広場」でも好きな作家に挙げている人の多い 村上春樹について。 超メジャーになる前から好きだった人について、 「昔は良かった」と語るマニアにはさすがになりたくないものの、 僕にとって村上春樹は、中学の初めから読みあさっていた作家の 一人である。その頃はまだ、初期3部作と呼ばれる「風の歌を聴け」、 「1973年のピンボール」(ついにタイトルがうろ覚え)、「羊をめぐる 冒険」くらいしか世に出ていなかったので、結構何度も読み返した ものだった。当時は、何にでも影響を受けやすいコドモだったので、 彼の感性や文体にも強く影響を受けていた(ほら、この通り)。 「ノルウェイの森」が発売され、世の中に赤い本、緑の本があふれ返った 頃から、さすがに「メジャーに対する反感」をひそかに覚えたりもした。 本を貸した友人が、「感動した」と言って返却してくれた時も、 「この本が本当にそんなにいい?」と聞きたくなったものだ。 しかし、その直後に出版された「ダンス・ダンス・ダンス」は、彼の 面目躍如というべき娯楽小説になっており、やや退屈な初期3部作を 読み流してでも初心者にオススメしたい痛快な作品。 ところで、あれだけメジャーになっても、村上春樹は極めて マニアックな作家であることは間違いがなく、「羊をめぐる冒険」は その当時の「日本SF文学大全」の中で紹介されるような代物だし、 僕にとって最高の小説である「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」 は谷崎潤一郎賞を受賞した幻想文学作品である。宮沢賢治やヘミングウェイ、 カート・ヴォネガットといったファンタジー、ハードボイルド、SF文学の 要素が複雑に入り込んだその構造は、極めて魅力的だった。 特にヴォネガットからの影響は度々指摘され、彼自身も認めている。 ある作品を境に僕はプッツリと彼の小説を読まなくなってしまったの だけど、それは「彼も歳をとった」「僕も歳をとった」ことを感じた からだ。だから、小説の評価なんて、読み返す度に変わってしまうに 違いない。 ところで、何故「ダンス・ダンス・ダンス」を取り上げたかと 言うと、タイトルが好きだからです。 【オススメ度】★★★★(5段階) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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