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2002.02.12
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カテゴリ:カテゴリ未分類
ふと気づいたのだけれど、自分のプロフィールの好きな映画欄に登録している
映画のことを一つも書いていないなあ、ということで、今日は、
ジャコ・ヴァン・ドルマル監督の「トト・ザ・ヒーロー」について。

まだミニシアターが今ほど流行っていなかった頃、ハリウッドもの
一辺倒の大映画館に背を向け、良質なヨーロッパ映画を求めて
良く日比谷シャンテに通っていた。そんな折、今からちょうど十年前に
出会ったのがこの「トト・ザ・ヒーロー」という一本の映画。

今以上に多感な青春期をすごす自分にとって、まるで夕闇に彩られた浪漫と
人生を淡々と描くヨーロッパ映画は、彼らの文化への強い憧れを生んだ。
それが退廃的な、前進のない古典回顧であったとしても、自分の血に決して
同化することのない香りを堪能するのは甘美な体験だったのだ。

ベルギー人のジャコ・ヴァン・ドルマル監督は、この作品でカンヌで
高い評価を受け、その後、「八日目」でさらに世に知られるが、
近況は知らない。

映画は、トトという老人が一人の男を殺すために銃を持って、彼の屋敷へ
忍び寄るシーンから始まる。幸福な少年時代の回想から、ショッキングな
事件と青春期を経て、殺意に至る経緯がパズルのように断片的に描かれていく。
幻想絵巻ともミュージカルとも言うべきシーンがいくつも交錯し、
シニカルで乾いた喜劇的演出に、純粋すぎる主人公の人生が心にしみる。

作品は様々な物語や映画のオマージュがちりばめられているらしいのだが、
それらを決して知ることなくとも、巧妙な迷宮的な味わいに酔うことができる。
クライマックスのカタストロフィは、絶望と希望に満ち、生きる力を再認識
させてくれる。

ほとばしる情熱をストレートに感じる秀作。

その後、僕は、ベルギーを訪れ、かの作品を生み出した芸術と美食の街の魅力を
堪能するが、こちらも二度目のヨーロッパ旅行先として、個人的にオススメします。

【オススメ度】★★★★★(5段階)





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最終更新日  2002.02.12 00:07:53
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