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文句なしの傑作、ハイパー・エンターテイメント大作。
ハリウッド映画の歴史の中で近年、SFジャンルに比すると肩身の狭かった ファンタジーの突破口を開いた記念碑的作品と言えるかもしれません。 こういった原作モノについては、両極端に様々な評価が飛び交いがちです。 原作に忠実に作品化しようとしたばかりに、ストーリーが急ぎすぎで分かりにくい、とか やれ、原作の雰囲気を損ないすぎ、など。原作モノはこういったメリット・デメリットを 背負って、知っている人も知らない人をも満足させなければならないという宿命があります。 ただし、最終的には映画作品単体として見た時に、「面白い」と言われるかどうかが評価の 基準なのであって、「ロード・オブ・ザ・リング」は間違いなく満点でしょう。 ちなみに、僕は映画を見る直前に、併設のショップで、「ロード・オブ・ザ・リング」の ドイツ製ボードゲーム(6000円也)、携帯ストラップ、ポストカードといったグッズを 久々に買いあさってしまいました・・・。 ということで、未見の人は必見。細かいお話は省いておきたいのですが・・・、 やはり、原作のファンとしては、言わねばならぬ補足事項があるので、結局 書いちゃいます。 1.続編への期待 今作を見終わった後に一番心配だったのは、 「知っている人はいいけど、話題だから見にきたという人が、果たして、きちんと 続編があることを知っているのかな?」というものでした。 案の定、直後に「なんか中途半端な終わり方だったね~」(決して中途半端ではなく、 続編を多いに期待できる終わり方なのですが)という女性グループに遭遇しました。 昔、同じく原作がアニメ化された時にも、結局、今回と同じ第一部までしか作品化できず、 続編についても「ヒットしたら作ろう」というスタンスだったため、「つづく」という言葉を エンディングに盛り込むことができなかったそうです。今回も同じ理由かとは思うのですが、 一応、第三部まで公開が仮にも決定しているのならば、日本版公開の際にはそのあたりを 少しフォローして欲しかったと思います(おそらく英米では、原作がよりポピュラーなため、 説明なしでも受け入れられる可能性が高いのでしょう)。 2.原作の神話性 さて、この後こそ、原作ファンの無駄な論評になりかねませんが、「ロード・オブ・ザ・リング=指輪物語」 の小説を読んだ時に最も魅力的な部分が何なのかを一応紹介したく思います。 前回も書いた通り、「指輪」の最大の魅力は、緻密な世界設定とその神話性、イメージの豊かさにあると 思います。トールキンはある意味、彼独自の世界観を表現するがために、ストーリーを作ったとも言える わけで、小説中では、本筋以外の世界説明や神話描写が何度も繰り返され、読者は秀逸な翻訳の力と 相まって「中つ国」のイメージに深く浸ることができるのです。 映像化された場合にこれらのモチーフを組み込むことは最も困難なのは理解できるので、 原作を頭の中でイメージした時に思い浮かぶ「黄昏色の霧がかかったような」世界を表現することはなく、 やはり、非常に色彩豊かなはっきりした映像表現となっていたのが、良くも悪くも映画というジャンルなのだ、 と感じました。なので、この鮮烈なイメージの映画を体験した人は、原作をはじめて読む時には、また 違う、より深く神秘的なイメージを抱くことでしょう。 今回、アカデミー賞最多ノミネートにも関わらず、作曲賞、視覚効果賞、メイキャップ賞といった 演出面の受賞にとどまったわけですが、それはもちろん価値のあることであって、作品そのものを より高く評価してもらうのは、次作以降ということで良いでしょう。 原作通り、間違いなく、第二部「二つの塔」、第三部「王の帰還」は、第一部とは比較にならぬほどの 広大なスケールと緊迫感、そして大いなる感動が約束されています!本当に公開が待ちきれませんね。 【オススメ度】★★★★★(5段階) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2002.04.04 10:03:06
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