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「PEN」(TBSブリタニカ)という雑誌が好きで、時々興味のある特集がある時に
買っている。以前は月刊だったが、現在は驚く程にクオリティを落とさないまま 隔週発行になったので、全て買い揃えるというまではいかないが、結構な号数が自宅の本棚に並んでいる。 この雑誌は正真正銘の「本物志向」であり、仮に今風のトピックスを扱う時でも、必ず基本と伝統を 抑えることを欠かさないところが、大変に好感が持てる。 例えば、面白かったのは、最新の号で、「本場の味 イタリア料理店」という東京、大阪の イタリアンレストラン特集があった。同じく、良く買っている雑誌で「東京カレンダー」 (アクセス・パブリッシング)というのがあり、こちらは流行りの「大人系雑誌」というべきか、 グルメ情報を中心にファッションやホテル、デジタルデバイス、映画などの情報を網羅しており、 まるで「東京ウォーカー」を卒業した層を対象にしているかのような作り。 たまたま、こちらも最新の号で「美的イタリアン」というイタリアンレストラン特集を行っていた。 そこで、同様の特集を行うことの多い人気雑誌「HANAKO」等と比べてみると、それぞれの 違いが良く分かる。「HANAKO」は、女性を中心として流行好きな、まさに一般大衆に向けて 雑誌そのもので流行を作ろう、というコンセプトがある。極めてお洒落に、最新の流行を ガイドブック風に伝える。ややもすればミーハーな感も多分にあるが、ごく一般層に向けての 王道と言える。だから、イタリアン特集も「気軽なパスタ屋からちょっぴりオトナなお店まで」となる。 「東京カレンダー」も同様にガイドブック的な見せ方もしているが、こちらはとにかく流行を ハイセンスに見せよう、使わせようとする意図が見え隠れしている。選ばれた人に向けた情報、という ちょっぴりスノッブな感覚をくすぐるのだ。副題を良く見ると「遊びたい大人の厳選情報誌」とあって、 なるほど、そのコンセプトは表現できているな、という気がする。よって、イタリアン特集は、 「大人が隠れる最新の流行イタリアン」といった感じになる。 それらと比較すると、「PEN」は流行に媚びることを決してせず、デザインであろうと、グルメであろうと その国の伝統や文化背景までを紹介しながら、変わることのない本物の魅力を伝えてくれる。 この雑誌に掲載されているインテリアにしても、ファッションにしても、はっきり言って、レアすぎたり 高額すぎたりして、そうそう手軽に入手できるものではない。各国の最新情報など伝えられても、なおさら 簡単に行けるはずもない。 しかし、そういった本物を知り、イメージを蓄えることで、価値観がどんどんと洗練されていくことが 実感できる。仮に、「PEN」でブランドの特集がある時でも、大抵の場合は、 「日本人はただ名前に惹かれてグッチを買い漁りますが、ヨーロッパでは、一つのバッグを母親から 娘に大切に伝えていくのです。本物は長く使われることで価値が出ます」 といった感じで読者を諭す。 というわけで、今回の「本場の味 イタリア料理」という特集でも、在日イタリア人が選んだ お店、ということで、前述した雑誌とのだぶりはほとんどなく、伝統と本場の味を守りつづけている 名店の紹介となっている。掲載されている対談でも、「日本では、人気が先行する傾向がありますが、 イタリア人は人気よりも自分の舌で行動します」とか、「料理は文化なんですから、イタリア料理を 名乗るなら創作料理というのは絶対にダメ」とか、なかなか痛快で、またレストラン感が変わりそうである。 【オススメ度】 「PEN」★★★★ 「東京カレンダー」★★★(5段階) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2002.05.15 23:13:37
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