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Dec 6, 2010
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カテゴリ:士道惨なり

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「士道惨なり(7)

 森家の一室に隠居の弦太夫と母の千代、それに妻の香代が集まっている。

 いま弦次郎は城内での評定所の結果を語り終えた。

 家族は無言で聞いていたが、ことの重要性に言葉を失い沈黙が漂っている。

「命がけのお努めじゃが、森家にとっては栄誉なことじゃな」

 弦太夫が倅の弦次郎に励ましの言葉をかけた。

「拙者には成算がございます。決して心配は無用に願います」

 弦次郎が三人に不敵な面構えをみせ答えた。香代にはそれが新鮮に映り、

母の千代には不吉な前兆に見えていた。

「親父殿にお願いの儀がございます」  「なんじゃ、改まって」

 弦太夫は倅の任務が危険で命がけとは分かっていた。併し武士として避けて

は通れない道と思った。このようなご沙汰は藩士の生き甲斐、そう感じていた。

「親父殿、道中では機敏に動こうと考えております。もし危険を感じたら、独断

で事を成そうと思っております」

「それが良い、わしは賛成じゃ」 弦太夫が柔和な笑みを浮かべた。

「そこでお願いですが、帰国まで森家の当主を親父殿に返上仕りたい」

「分かった、安堵いたせ」 弦太夫は倅の決意を知った。

「妻子もお願いいたします」  弦太夫が大きくうなずいた。

「これで後顧の憂いなく出かけられます。さてお袋殿にもお願いがあります」

「わたしのような老婆にも、願い事がありますか?」

「はい、香代を頼みます。お腹にはややがおります」

「なんと-・・・ややが」  香代が恥ずかしそうに俯いた。

「これは目出度い」 弦太夫が嬉しそうな笑い声をあげた。

「香代、話は済んだ。親父殿と一献酌み交わしたい、用意を頼む」

「はい」 香代が腰を浮かした。

「待ちなされ、ややのおる身じゃ、わたしが用意しましよう」

 母の千代がいそいそとお勝手口へと向かった。

 森家に笑い声が響き、弦次郎の旅立ちの宴が催されていた。真っ先に

弦太夫が酔いつぶれ、部屋に引き上げた。

 千代と香代の後片付けの音が聞こえる。弦次郎も寝室に引き上げ旅装の

準備をととのえ、布団に横たわり香代の帰りを待っていた。

 足音を忍ばせ香代が戻り寝化粧を終え、暖かく柔らかな躯を寄せ悩ましい

吐息をあげ、弦次郎の躯に身をあずけた。

「香代、しばしの別れじゃ」 「旦那さま、無事にお努めを」

 香代がそっと弦次郎の手を引き寄せ、自分の下腹部へと導いた。そこは

ふっくらとして暖かかった。

「ややは元気か」 小さく肯き香代の口から吐息が洩れた。

 弦次郎は香代の下肢をひらき、優しく秘所に押し入った。香代の身体から

女の匂いと寝化粧の匂いが、渾然一体となって弦次郎を魅了した。

 安らかな交合がつづき、香代が小さく快感の高まりを訴えた。

「無事に帰国したら、毎晩、そちを抱く」 妊娠した香代の躯は肉付きが豊か

となっていた。豊満な乳房を揉みながら香代の肉体に溺れていった。

     (その一)

 中天に満月が金色の輝きを見せるなか、稲葉十右衛門は心の奥襞に潜む

魔物の囁きに誘われ、筆頭家老の望月大膳の屋敷に向かっていた。

「申しあげます、お目付の稲葉さまが火急の用件で訪れて参られました」

 大膳は用人の声で書物から視線を外した。

「稲葉十右衛門が?」 大膳は評定所での彼の不遜な顔を思い出し、眉を

ひそめた。この刻限になんの用件か。

 目付が火急の用として訪れたからには会わずばなるまい。暫く待つと、

廊下に足音が響き稲葉十右衛門の声がした。

「夜分、失礼とは存じましたが、ご家老に内密な話がございまして参上いたし

ました」  咽喉の痰をきり、大膳は部屋に招きいれた。

 何時もの表情の稲葉十右衛門が姿をみせた、心なしか緊張が窺われる。

「まずは座れ」 稲葉十右衛門が俊敏な動きで大膳の前に座った。

「火急の用とはなんじゃ」 「評定所では数々の暴言を吐き、お許しを願います」

 大膳が面食らった顔をした。この男からこのような殊勝な言葉を聴こうとは

思えなかった。

「実は公儀の忍び者の件にございます。拙者にはどうも腑がおちぬところが

ございまして、あのような不遜極まる態度を取りましてございます」

「何が腑におちぬ」 大膳は不審の思いで稲葉十右衛門を見つめた。

 常とは違う感じの男がそこにいた。

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Last updated  Dec 6, 2010 11:28:32 AM
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