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Apr 27, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬無情剣

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      「騒乱江戸湊(11)

「お頭は探索費を自前で払いと言われますのか?」

 源次郎が口調を強め抗議した。

 河野権一郎が渋い顔をしたが、そこは老練な与力である。

「分かった。勘定方に支払うよう申し入れる」

「有難うございます、今後の我らの探索はいかがいたします」

 源次郎がすかさず礼を述べ、今後の方針を訊ねた。

「由蔵をしよっぴくか?」

 河野が二人を煽るような言葉を吐いた。

「それはなりませぬ、黒幕を探りだすには泳がせねばなりますまい」

 即座に勝沼十右衛門が反対した。

 河野は腕組みをし思案していたが、暫くし新たな命令をくだした。

「・・・・・両名に命ずる。古賀は賭場を見張れ、勝沼は黒幕と覚しき

人物を探りだせ。探索費として二両づつ遣わす、ただし事件が解決したら

清算はさせてもらうぞ」

「お頭、それは殺生です。奴等の懐に入らねば情報は得られません」

 源次郎が喰いさがった。

「分かった、とにかく悟られるな」  河野権一郎が断をくだした。

「畏まりました」

 二人は勘定方から自費の清算と、あらたに二両の探索費を頂戴したのだ。

「お主の押しの強さには恐れいった」

 勝沼十右衛門が呆れ顔で古賀源次郎の童顔を見つめた。

「十右衛門、これが役得と言うものじゃ。借りた二分判金は返すぞ」

 こうして二人は別行動で探索を始めた。

 源次郎は頻繁に賭場に通い、代貸しの金兵衛を巧みに籠絡し、十右衛門は

およねに惚れた振りをして十日に一度は、水茶屋を訪れやり手婆のお鹿と

懇意となった。こうして二人は極秘裡に内偵を進めはじめた。


 浅草寺の境内の清掃は、若い僧や信者達の奉仕活動で成り立っていた。

 早朝の明け七つ(午前四時)を期して一斉に清掃が始まった。

 それを目当てに食い物の辻売りや、棒手振りが集まり店開きをはじめた。

蕎麦、うどん類、茶飯、菜飯、強飯(こわめし)の主食がおもであった。

 こうした喧噪に包まれ、一人の若い僧が不審そうな顔つきをしている。

 境内の清掃とは無関係な男達が集まってきたのだ。

 彼等は蕎麦を啜り、強飯や握り飯などを贖い、三々五々と境内に散って

行く、いずれも大工や左官風の男達であった。

「珍念さん、どうかしましたか?」

 顔見知りの信者が声をかけた。

「長兵衛さん、おかしいのです」   「何がです?」

「あの人達です」

 長兵衛が珍念の指差す男達を見つめた。握り飯や強飯を腰にぶら下げ、

彼等は所在なげに境内をゆっくり歩み、裏門へと消えて行く。いずれも股引、

半纏姿の職人風の男であった。

「変ですな、皆が裏門に向かいますね」

「最近は、何時もこうですよ」  「戻って参ります」

「わたしにはお勤めがありますから、分かりません」

 珍念はまだ不思議そうな顔つきをしている。

「そう気になさいますな、辻売りが店開きをしたので集まったのでしょう。

もう清掃は終わりですよ」

 男達は浅草寺の裏門に達すると、足早に観音堂を横にみて奥山へと向かっ

た。その人数は二十名くらいで毎朝繰り返された。

 珍念もいつしか見慣れた朝の光景と感じるようになった。

 明け六つ(午前六時)の鐘が時を告げた。江戸の町が一気に活気ずく時刻であ

る。真冬とはいえどもこの刻限になると、東の空が白々と明るみ陽の光が町並

みを照らしはじめる。


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Last updated  Apr 27, 2011 11:42:11 AM
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