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May 4, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬無情剣

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      「騒乱江戸湊(18)

「親父、我等は火盗改方じゃ。観音堂の近くで三人の死骸が転がって

おる、番屋に知らせてはくれまいか」

 源次郎の声で親父が慌てて店を飛び出していった。

 親父の姿が消えるのを確認し十右衛門が低い声で驚くべきことを述べた。

「源次郎、とうとう例の女を見つけたぞ」

「本当か?・・・何処で見つけた」

 源次郎が性急に訊ね、十右衛門が発見の経緯を手短に告げた。

「矢張り水茶屋の女将が例の女であった」

「とうとう見つけたか、奥山は我等の見込み通り闇の世界と係っておったか」

 源次郎が嬉しそうに童顔をほころばした。

「お主の方はどうじゃ」

「不審な点は多くあるが、裏付けるものは出ない。明日、お頭に報告し徹底的

に張り込みをしょう」

 翌日から火付盗賊改方は総力をあげ、奥山一帯に張り込みを強化した。

前回は御厩河岸から屋形船で逃げられたために、浅草界隈の船着場に猪牙船

を舫(もや)い、大がかりな警戒網を張り巡らした。

 しかし思ったよりも早い決着がつくと思ったが、事態は遅々として進展を

みせないままに日々が経った。

 万八亭のお波にも変わった様子はみえなくお頭にも焦りの色が濃くなってい

る。夜間ともなると浅草奥山一帯の監視はさらに強められた。

 宗匠頭巾の謎の武士は数名の護衛に守られ駕籠で去った。そう考えると

単独行動はないと思われる。警護された駕籠が現れるならば、その主が世間を

騒がせる闇公方と名乗る、不届き者と推測できる。

「両名、どうじゃ。このまま時を空費しては勿体ない、水茶屋を全て取り潰す。

勿論、賭場も一緒じゃ」

 火付盗賊改方の任務は若年寄配下とし、江戸市中の火付、盗賊の取り締まり

と博打などの取り締まりを主任務としていた。

 お頭の河野権一郎が非常手段を口にするのも無理はない。

「それでは奴等を永遠に捕えることは不可能となりますぞ」

 十右衛門と源次郎が反対した。こうして膠着状態が続いていた。

 こうした緊迫した中でも季節の移ろいは早い、すでに四月を迎え江戸の町人

達は活況を見せ始めている。

 坂東三十三観音霊場の第十三番札所として名高い浅草寺は、行楽をかねた

花見客と参拝者で盛況をきわめていた。

 奥山の見世物と大道芸を一目みようと客が殺到していた。

 新緑に埋もれた奥山一帯は、緑一色で眩しい光景を現している。

 そうしたなかで火付盗賊改方を嘲笑うように、水茶屋も賭場も満員盛況の

ありさまである、これは火付盗賊改方への挑戦ともとれる光景である。

 業を煮やした河野権一郎は、十右衛門と源次郎に特命を下した。

 再度、万八亭と由蔵の賭場に潜入することを命じたのだ。

「十右衛門、お主は果報者じゃ。時には代わってみたいの」

 源次郎が羨んでこぼす始末である。得体の知れない男どもに混じり丁半

博打をするよりも、若い妓を抱けるお勤めの方が良いにきまっている。

 源次郎は支度金の二両を懐に、奥山の博打場へと向かった。

 半ば日が沈みかけ、西日を背にうけ源次郎は小道を急いでいた。

新緑と雑草の臭いが濃厚に漂っている。

「古賀の旦那、お久しぶりにございますな」

 代貸しの金兵衛が愛想顔で出迎えた。

 源次郎は盆の隅に座り一両をコマ札にかえた。

 由蔵が珍しく姿を見せ、奥の片隅で長羽織を纏い獰猛な面で、ちびちび

と酒を飲んで賭場の様子を監視している。

 賭場は活気に満ち、客の前にはコマ札が積まれている。

 源次郎は勝ったり負けたりの有様で隣の部屋へと向かった。


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Last updated  May 4, 2011 11:56:43 AM
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