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Jul 30, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬無情剣

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   「騒乱江戸湊(97)」

(対決) 明日は休みます。

「なんとご貴殿が爆破すると申されるか、焔硝はいかがなされる?」

 主水の問いに求馬が破顔で応じた。

「既に、猪の吉が地下蔵より盗みだしておりましょうな」

「恐れいった、ところでそれがしは下谷御徒町に疎うござる」

 主水が顔をしかめ、求馬に助言を求めた。

「ご安心下され、猪の吉を助勢にだします」

「それは心強い」

「嘉納殿にお願いがあります。火盗改方の天野監物殿と若山豊後の両名を

お借りいたしたい」

 求馬の言葉に主水が不思議そうな顔をした。

「鳳凰丸の襲撃は石川御用地と六万坪地の二か所から行います。その一方

の指揮を若山豊後殿に任せたく思っております」

「成程、こ貴殿と若山豊後が襲撃の指揮を成されるか。して天野監物は?」

「嘉納殿より、火付盗賊改方長官の山部美濃守殿に奥山の指揮を天野殿に

任せて頂くように進言願いたいのです。彼は地下蔵にも精通しております」

「切れ者の山部殿の説得は難しい、阿部正弘さまにお願いいたそう」

「そう願えれば安心にござる」

 求馬と主水が顔を見つめあった、ようやく決着の時が訪れたのだ。

「嘉納殿、明日は存分に働きましょうぞ、それがしはこれにてご無礼いたす」

 求馬が痩身を立ち上げた。

「日本橋にお戻りか?」

 主水の問いに求馬が首を振った。

「これから船手組の組頭、向井将監殿に会いに行きます」

「待たれえ、時刻も早い。それがしも同道いたそう」

 主水が気軽に立ち上がった。主水は麻の単衣姿、求馬はいつもの黒羽二重

の着流し姿で肩を並べ、霊厳島の向井将監の役屋敷にむかった。

 船手組の役屋敷は五ヶ所に散らばっていた。浜御殿、霊厳島、新堀川口、

永代橋、万年橋であった。組頭の向井将監は役高二千四百石の大身で、代々

世襲で向井将監を名乗ってきた。

 霊厳島の役屋敷を訪れと、永代橋の詰所に居ると言われ、二人は川風を

受けながら永代橋の船手組詰所に着いた。

 主水が門前で名乗りあげ、向井将監に伝えるよう水主同心に語りかけた。

 日頃は大目付が直々に訪れることはなく、水主同心が慌てて駈け去った。

「これは大目付殿、自らかような場所に参られるとは何用にございますな」

 四十半ばの骨格が逞しく赤銅色の顔をした男が、塩辛声で出迎えた。

「お勤めをお邪魔いたし申し訳ござらん、貴殿に紹介する人物をお連れいたし

た」  主水の言葉が止むのを待って求馬が進み出た。

「それがしが伊庭求馬にござる、未だに素浪人の身にこざる」

「ご貴殿が伊庭殿にござるか、船手組組頭の向井将監にござる。明日の晩に

大船襲撃の指揮を執られると、老中首座さまより報せがござった」

 将監が磊落に語り、値踏みをするように求馬の痩身を眺めている。

「向井殿、御不審な点でもござるか?」

 主水が二人を取り持つように語りかけた。

「明日の手配りをお聞かせ願いたい」

「船手組のお勤めは、大川の東河岸と永代橋の警備、特に堅川と小名木川へ

の闇公方一味の逃亡阻止。さらに重大なお勤めは大船の爆破にござる」

 主水が求馬に代わって答えた。

「なんと、大船を爆破されると申されるか?」

「左様、伊庭殿は大船に一番詳しい人物にござる」

 主水の答えを聴き、向井将監が求馬に顔を向け質問を発した。

「ならば伊庭殿にお訊ねいたす。どのような手立てで大船を爆破いたします」

「お聞かせいたす」 求馬が懐中から一枚の絵図を取り出した。

 それは若山豊後に描かせた絵図であった。

 求馬が乾いた声で鳳凰丸の動きと侵入経路、更に回頭し停泊する様子を

詳細に指を差し説明した。それは見事なほど理路整然としていた。

「毎晩、丑の刻に侵入しておりましたか」

 向井将監が唸るように言葉を吐いた。石川御用地から監視を続けたと聞いた

時に、向井将監は求馬の力量を確信した。言い替えれば船手組の怠慢である。

「して襲撃の手順をお教え願いますか?」

 求馬は襲撃の方法を仔細に語り終え、猪牙船二十艘と船手組の選りすぐりの

手練者六十名を要求し、さらに短弓と鈎綱の用意を頼んだ。


 騒乱江戸湊(1)へ






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Last updated  Jul 30, 2011 11:29:26 AM
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