長編時代小説コーナ
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龍5777
基本的には時代小説を書いておりますが、時には思いつくままに政治、経済問題等を書く時があります。
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「土方歳三」 ここ数日、土方歳三の資料を漁っておりましたが、自分の浅知恵に愕然と なっております。かれを題材とした小説と新選組の小説はかなり読んでおり、 その人となりは頭に入っていると思っておりましたが、資料を読み進める度に 自分の無知さを思い知らせれております。 また隊士も然りです、斉藤一は、まったくわたしの思っていた人物とは違って おりました。話を土方歳三に戻しますが、「鬼の副長」と恐れられた彼の幼年 時代は全く知りませんでした。幼年時代の彼の生き様を知らねば彼を描くことは 出来ません。どのような育ち方をして自己を確立し、新選組の副長となったの か、冷徹で命懸けの命令を隊士に命ずることが出来たのか、興味津々です。 腕のたつ浪人を徴募し、新選組隊士として鉄の掟を定めた組織力は彼はどこ で学んだのでしょうか。「軍中法度」この規律は子母澤寛によつて「局中法度」と 命名された、新選組の隊規です。 「士道に背くべからず」 「局を脱すべからず」 「勝手に金策すべからず」 「勝手に訴訟を取り扱うべからず」 『組頭討死におよび候時、その組衆その場において戦死を遂ぐべし』 『烈戦虎口において、組頭のほか屍骸引き退く事なさず』 と、隊士たちが小隊長と運命を共にすることや、小隊長以外の遺体は捨て置く ことを命じた、激烈なものである。 歳三は歴史に名を残した有名人と違い、塾などで勉学したことはありません。 試衛館で天然理心流の剣技を学んだに過ぎません。 こうしたことは幼年期に体験で身でもって学んだ結果ではないでしょうか。 彼は日野石田村の豪農の末っ子として産まれました。十一歳の時に江戸 上野広小路の松坂呉服店に奉公に出されます。 松坂屋のような大店では番頭、手代、丁稚と細かい階級が存在しておりまし た。ここで組織のいろはを学んだのではないでしょうか。彼はささいな出来事 で番頭の怒りにふれ頭を殴られることになり、ついに店を無断に飛び出し十里 もあろうかという夜道を歩き石田村の実家に戻ってきます。 その後、歳三が十七歳となった時、再び奉公に出ることになりました。 こんどは大伝馬町の呉服屋であったと言われておりますが、ここでも事件を 起こしてしまいます。「身丈五尺五寸、眉目青秀にして美男なり」と言われた 歳三は店の女と肉体関係をもち、妊娠させてしまいました。 こうして実家に戻り、家天薬の石田散薬の行商をすることになります。 この時期を境に土方歳三は剣術に目覚めるのです。 二度の奉公生活で組織とは何かを、学んだのではないのかと思うのですが、 うがち過ぎでしょうか。