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May 17, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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       「改訂  上杉景勝」 (81)

 それを耳にした清正は激怒した。

「治部少輔め、内府の暗殺を企ておるか」

 風評とは恐ろしいもので、それが福島正則、加藤嘉明、黒田長政、

浅野幸長、細川忠興等の知るところとなった。

 正則などは激高し「これから石田三成の首を刎ねる」と意気ごんだ。

 それを加藤清正が懸命に止めた。

「市松、ここは伏見じゃ。まずは内府殿を守らねばならぬ」

 福島正則の幼名は市松である、彼等は豊臣家の大名の身分を忘れた。

 朝鮮の役では太閤殿下の寵愛を獲て彼等の苦労も知らずに、難癖を

つけたと三成を腹の底から憎んでいたのだ。

 それは一種の嫉妬であったが、彼等は気づかずにいた。

 太閤を父親のように慕っていた彼等は、その父親を三成に奪われたと感じ、

憎悪の炎を燃やしていた。

 天下に恐れられた荒武者が、子供のように拗ねているのだ。

 その心理を家康は巧みに利用し、彼等を己の側に獲りこんだ。

 家康の謀略の才が勝った結果であった。

 
 そうした一触即発の伏見の上杉屋敷に兼続は留まり、国許から引き連れた

忍び者に、徳川家の内情を探らせていた。

 そうした時期に三成から、お会いしたいとの隠密の報せが届いた。

 直江山城守は直ちに定められた屋敷を訪れた。そこは伏見の郊外にある、

瀟洒で鄙びた屋敷であった。

 彼は迷うことなく風流な玄関をくぐりぬけ案内を請うた。

 小袖姿の可憐な乙女が出迎え、「山城守さま」と小首をかたむけた。

「左様」

「ご案内いたします」

 乙女の案内で廊下を伝い奥に向かった、三成らしい手入れの行き届いた

庭には、季節の花が咲き誇っている。

 部屋には二人の人物が待ち受けていた。一人は石田三成で、いま一人は

顔面を白布で覆った人物であった。

「これは大谷形部(ぎようぶ)さまか、お久しうござる」

「山城守殿もお元気そうじゃ」

 大谷形部が低いしわがれ声を発した。

 この頃、大谷形部はらい病がすすみ顔を白布で覆っていた。

「遠慮のう座って下され」

 三成が座を指した、三成は年齢とともに才気走った顔つきとなっている。

 人々はそれが豊臣政権の中枢の筆頭としての貫録、威厳と受け取る者も

いるが、逆に小面憎いと反感をもつ者もいた。

 兼続がふわりと腰を据え、三成の顔を見つめ訊ねた。

「いかが成されました」

 童顔の三成が無言で笑みを浮かべている。

「石田殿、荒武者どもがお命を狙ってこざるぞ」

「流石は山城守殿じゃ、もうお耳に達しておられるか」

「ご貴殿なしくない策にござるな」

「左近の独り相撲にござるよ」

 三成が語りながら茶椀を兼続の前に置いた。

「左様か」

「拙者では関東の古狸に勝てぬと申してな」

「女子の嫉妬も見苦しが、荒武者の嫉妬は恐ろしい。用心なされ」

「そうじゃ、山城守殿の言うとうりぞ」

 大谷形部が白布に包まれた顔を三成に向けた。

「紀之助、わしは負けぬ」

 三成が顔を染めて甲高い声で断言した。

 三成と形部は親友であり、互いに紀之助、佐吉と呼び合う仲であった。

「島左近が合戦では勝てぬとよんだ。そこが分からぬのがお主じゃ」

 大谷形部がしわがれ声を強めた。

「左近の申すことは分かる。だが勝てる算段はある」

 三成が低いが決然とした言葉を発した。


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Last updated  May 17, 2012 10:49:13 AM
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