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May 25, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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       「改訂  上杉景勝」 (87)


「土佐の長曽我部元親殿の死去にござる、跡目は四男の盛親殿が継がれ

ましたが、なんせ若輩の身にござる」

「合戦ともなると心細いか」

「御意に」

「元親殿がご存命ならば長曽我部勢は頼りになったであろうな」

「なんせ四国を平定した武将ですからな」

「やむをえぬ事じゃな、人の生き死には誰にも止められぬ」

 景勝が瞑目し、額に指をあて浅黒い顔をうつむけた。

「いかがなされました」

 山城守がその様子に気づき素早く言葉を懸けた。

「金沢の前田家が危ないの」

「なんと」

 兼続が思わず驚きの声を発した。それは極秘として最近、兼続が知った

ことであった。

 お屋形はこの情報を何処で手にそれたのか不思議であった。

「山城、わしも眼も耳もある。家康の大阪城づめの魂胆が分かるか」

 兼続が白皙の顔に透明な笑みを浮かべた。

「わからずに上杉家の執政の職は務まりませぬ。故太閤殿下のご意志は、

大阪城に家康を入れぬことでした、それ故に前田利家殿を大阪城に配さ

れ、家康には伏見城づめを命じられました。それは秀頼公の名を借りて

天下の諸侯に勝手な命令を出さぬための用心にござった」

「その通りじゃ。だが前田利家殿が亡くなられ好機到来とばかりに大阪城に

入りよった」

 二人の会話は確信に近づいている。

「前田利長殿は八月に金沢に帰国なされましたが、降雪のため越年は

必定、それを理由に謀反の恐れありと前田攻めを宣言いたしましょうな」

「そうじゃ、それも秀頼公の名のもとで行われよう」

「お屋形はそれを何処から手に入れられました」

「わしにも諜者は居る、石田殿が健在ならば内府の大阪入城はなかった筈」

「そうでございますな、前田殿は合戦を回避いたしますな」

「そうせねば秀頼公への謀反と言われよう。既に先鋒は小松城の丹羽長重

が取沙汰されておるわ」

「それもご存じにございましたか」

 兼続の問いに答えずに景勝が憤りの声を漏らした。

「わしは徳川の狸爺が憎い。ありもせぬことをまき散らし豊臣家の御為と

称し、己の地盤を固めておる」

「奴の狙いは利長殿の母上の芳春院(ほうしゅんいん)さまにござる」

「なにっ」  景勝の顔色が変わった。

 芳春院さまとは加賀前田家の亡き利家の妻の、お松のことであった。

 彼女は利家の死により、髪をおろし芳春院と称していた。彼女は夫の利家

を助け、賢夫人として故太閤も彼女の存在に一目おいていた。

 家臣達も新藩主の利長よりも、彼女に心を寄せていたのだ。

「狸め、芳春院さまを人質として江戸に連れかえる積りか」

「左様に心得ます。そうなれば前田家は徳川に反抗は出来ませぬな」

「汚し」  景勝が怒声をあげた。

「来るべき合戦には前田家は、豊臣方としてあたにできませぬな」

「山城、上方から眼を離すな」

 家康は兼続の読み通り、前田家は豊臣家に対し謀反の疑いありとして

討伐軍の派遣を決定した。それも秀頼公の名前で行われた。

 家康は豊臣恩顧の諸侯に出陣の下知を発し、前田家は恭順の使者を

大阪に派遣した。

 前田利長は豊臣家に対し二心はないと抗弁したが聞き入れられず、

芳春院が自ら人質となり事は決着した。彼女は息子の利長の器量では

前田家の存続がないと見たのだ。

 彼女は身を犠牲として家を守る決意をしたのだ。こうして豊臣家最大の

忠臣であった前田家は、家康の軍門に屈したのだ。


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Last updated  May 25, 2012 10:34:50 AM
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