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Oct 24, 2012
カテゴリ：改訂 上杉景勝
[上杉景勝] ブログ村キーワード
   「改訂 上杉景勝」 (93) (軍師二人) 深編笠をかむった十名の武士が、新緑に覆われた下野街道を足早に 急いでいる。いずれも手練者としれる男たちである。 中央を進む武士の腰を落とした姿が印象的である。 かなりの遣い手とみえる。渋柿色の野袴を着用し、羽織を風に靡かせ 街道を進んでいる。 「そろそろ会津領に入るの」 戦場焼けした声に男の色気が感じられる。 「かれこれ二里くらいにございましょう」 「遠路、苦労をかけたの」 「拙者が先駆けをいたします」 若々しい声の武士が一行の先頭にたち、小走りに街道を駆けていった。 「皆、あの茶店で休息いたす」 鄙びた茶店の長椅子にそれぞれが腰を据え、街道を警戒している。 羽織姿の武士が編笠を脱ぎ茶碗を手にした。 戦場焼けした古武士風の容貌と知的な眸が魅力的である。 「天下の島左近さまが会津を訪れるとは、山城守さまも驚かれたでしょうな」 「なんの、家康の首が捕れるなら地獄でも行くわえ」 日焼けした顔色の武士が明るい声を発した。彼こそ上杉家の直江山城守 と天下を二分する軍師の、島左近の偉丈夫である。 「騎馬が参ります」 「流石に手回しが良い」 島左近が眼を細め街道を見つめた、前方に砂煙が立ち上っている。 五頭の騎馬が茶店の前に止まり、先頭の武士が名乗りをあげた。 「それがし上杉が家臣の上泉泰綱(やすつな)にございます」 「ご貴殿が新陰流の上泉殿か？」 「左様に、殿と山城守さまがお待ち申しておられます。空馬をお渡し申せ」 「はっ、遠路ご苦労に存じます。この馬をお使い下されませ」 泰綱の配下が空馬を引いて左近に手綱を渡した。 「かたじけない」 左近が物馴れた態度で鞍上に飛び乗った。 「わしは先に若松城に行く、皆共は後からゆるりと参れ」 一声残し左近が馬腹を蹴った。五騎が猛然と街道を疾走する。 途中に若葉に埋もれた、天守閣がかすかに望まれた。 左近が馬脚をゆるめて眺めやっている。 「見事なお城じゃ」 「あれが会津若松城にございます」 その後、上泉泰綱の案内で騎馬のまま、左近は城内に案内された。 改訂上杉景勝(1)へ お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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