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Oct 25, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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       「改訂  上杉景勝」  (94)

「島さま、まずは宿舎にご案内いたします。汗など流し着替えて下され」

 泰綱が先頭にたって宿舎に導いた。

(流石は行き届いた手配りじゃ)

 左近は内心で呟き、案内された豪華な宿舎の浴槽で汗を流し、

うら若い腰元たちの手によって用意された袴に着替えた。

 外は手入れの行き届いた庭が初春を知らせるように、若葉と季節の

花々が眼を和ませてくれる。

 眼を転ずると微かに会津盆地を囲むように、急峻な山並みが望見される。

 奥州の要の城塞だけあって、堅固な護りを誇っていることが判る。

「さっぱりといたしたわ」

 部屋の前には小姓が控えていた。

「島さま、山城守さまがお待ちにございます」

 小姓の案内で瀟洒な離れの座敷に案内された。すでに酒の用意がして

ある、左近が無類の酒好きと知った山城守の配慮であった。

「ご免」

 冴えた声と同時に、直江山城守が白皙の長身を現した。

「これは山城守さま、お久しぶりに存じます」

「左近殿もお変わりなく結構じゃ」

 左近の前にふわりと座り、

「まず、一献参られよ」と自ら酒を勧めた。

「頂戴いたします」

 注がれた酒を飲み下し、「旨い」と左近が嬉しそうに舌鼓をうった。

「上杉家の家風は独酌にござる、ご随意に過ごされよ」

 山城守が告げ左近がにやりと破顔し、遠慮する様子も見せずに酒を

楽しんでいる。山城守は左近の舌の渇きが癒えるまで沈黙していたが、

ころあいが良いとみて言葉を発した。

「江戸の大狸が蠢きだしましたな」

「その為に会津に参りましたが、いよいよ面白くなって参りましたな」

 左近が寂びた声で応じた。

「お話は今宵、殿とお聞きいたす。ご家来衆もおいおいと着かれましょう、

長旅の疲れを癒して下され」

 そう言い置いて山城守は部屋を辞していった。


 会津盆地に夜の帳が訪れた。左近は泰綱の案内で景勝の待つ一室に

向かった。部屋は灯火が煌々と輝き真昼のようである。

 正面に浅黒い容貌の景勝が無言で座し、傍らには山城守が控えている。

 あとは数名の家臣が平伏して左近を出迎えていた。

 それぞれの座の前に酒肴の膳が並んでいる。それは豪華なものであった。

「左近殿、お屋形さまの前にお座り下され」

 兼続の声で臆する様子もみせず、左近は静かに腰を据えた。

 傍らには上泉泰綱と厳つい顔つきながらも飄々とした風情をもった

大兵の武士が控えていた。

「お屋形、石田三成殿の家老の島左近殿にございます」

 兼続が如才なく左近を紹介した。それに応じ左近が身拵えを正した。

「お初にお目にかかります。それがしが石田家の島左近にございます」

「わしが中納言上杉景勝じゃ。遠路ご苦労であった」

 そう言って景勝は口を閉ざし、剽悍な眼差しで左近を見つめている。

「左近殿、泰綱の横の男が前田慶次利大にござる」

 兼続の紹介で改めて大兵の武士の顔を見つめた。

 良い武者面をしている。

「前田利家さまは叔父にござったな」

「いささか風狂に過ぎまして、お屋形さまに拾って頂きました」

 前田慶次が照れて頭を撫でている。

「槍の遣い手と聞き及びます」

 一時、雑談に花が咲き、一同は膳部に箸をつけ酒を楽しんだ。

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Last updated  Oct 25, 2012 01:00:30 PM
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