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Oct 26, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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       「改訂  上杉景勝」  (95)

 景勝は挨拶に言葉を発したが、あとは一言も口をきかずに大杯を

呷っている。髭跡が濃く沈々とした態度で時折、鋭い視線を見せるのみで

ある。まるで何を考えているのか、乱世を生き抜いてきた左近をもってして

も判断ができぬ武将であった。

 それに引き替え、我が主の石田三成はこうした座では弁舌でもって家臣

を嘲弄するような態度が多く、左近からみても小賢しい言葉を発する武将

であった。

 それは官吏としての才能であり、武将としての三成の器を示すものでは

なく、三成という男の気象であった。

 それは左近も認めるところであるが、戦略という壮大な絵図を描ける

大名は、三成を置いては他には居ないと左近は信じていた。

 そうした三成も家臣には情が厚く、家臣も主を心から信じていたのだ。

「松籟の音が心地よく聞こえてきますな」

 取りつく間をもてあまし、左近が杯を干し山城守に声をかけた。

「この部屋は常にそうです」

 直江山城守も、ただ簡潔に答えを返すのみであった。

「風流の極みにございますな」

 答えつつ島左近は舌を巻いている、景勝から漂う気迫は正に戦国大名

の典型的な気配を感じさせるものであった。

 景勝公は故謙信公の化身であらせられるな、そう感じ人づてで聴いた話

を思い出していた。

 合戦の渡河中、供の武者が多く乗りすぎ川中で船が傾いた。

 景勝が無言で青竹を振ると、全く泳ぎのできぬ者まで一斉に流れ

に飛び込んだという。

 これは景勝の秋霜列日の気象を示す出来事であると言われた。

 日頃から無口で家来たちは、敵より主の景勝を恐れていると言う。

 大将とは、ただ床几に腰を据え、戦況に関係なく前方の様子を見据えて

いるものである。これが景勝の武将としての生き様であるという。

 ゆえに景勝の本陣は旗本や兵士等は、前方を見据え折り敷、咳払いを

たてる者もなく静まり、無言の軍団として敵に恐れられていたのだ。

 己が本陣で泰然自若としておれば、全軍は動揺せず兵士等は合戦に

勝てると信ずるものである。これが景勝の考えであった。

 これは謙信を崇拝し、己を高めようとする武将としての気概であった。

 そうするように山城守も景勝を導いてきたのだ。 

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Last updated  Oct 26, 2012 12:04:21 PM
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