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Nov 13, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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       「改訂  上杉景勝」  (108)


「ところで常陸の佐竹殿は、いかが成されておられる?」

「家康の内意で仙道口を任され、一万六千名の軍勢で滞陣なされておられ

ますが、狸が会津国境に進撃いたせば、打ち合わせ通りに狸の背後を衝く

ことになりましょうな」

 山城守が平然とした口調で告げた。

 だが家康の戦略もしぶとかった、彼は佐竹義宣や伊達政宗、最上義光ら

を全面的に信頼していなかった。

 家康には次男の結城秀康がいた。彼ははじめ豊臣秀吉の養子となり、

その後は、下総結城城主の結城晴朝の養子となっていた。

 秀康の弟が秀忠である。

 秀康は父の家康の命令で佐竹勢の牽制役とし、六月二十二日に下野

太田原に軍勢を進め、父、家康の命令を待っていたのだ。

 その所為で佐竹勢の動きが緩慢であった。併し上杉景勝と山城守は

秀康がやすやすと家康の命に加担するとは考えていなかった。

 直江山城守と秀康は秀吉の存命時期、大阪城で昵懇の間柄となって

いたのだ。それ故に秀康も陣中にあって上杉家の存亡に心を痛めていた。

「いずれにしても、会津に進撃いたせば奴の命は貰いうける」

 景勝が低いが腹の底に響く声をあげた。

「御意に、天下静謐の為に死んでもらわねばなりませぬな」

 直江山城守も沈潜(ちんせん)な面持で断言した。

 夜が更けてきた。城内は深閑とし獅子脅しの音が聞こえてくる。

「山城、そちが内府なれば小山から軍勢を反転いたすか?」

 城内の様子に耳をそばだてていた景勝が問を発した。

「勿論にござる。小山から軍勢を上方に向けねば天下は手にできませぬ」

 山城守が迷うことなく断言した。

「このまま上方に向かうかのう」

「それがしなら諸大名を引き連れ、江戸に戻り暫く天下を展望いたしますな」

「天下の動きをよむか。併し福島正則や黒田長政どもがそれを許すか」

「許すも許さぬもござらぬ、奴等は内府の狗にござる。また正則は石田殿

を仇敵と考えております、天下を簒奪(さんだつ)する者は石田殿と吹き込め

ば、簡単に乗りましょうな」

「豊臣家の子飼大名の福島正則、そこまで阿呆か」

 濃い髭跡を見せた景勝が苦笑を浮かべた。

「また黒田長政、親に似て権謀術数を好みます。今では狸の自家薬籠の

男に成り下がっておりますな」

「父親は黒田如水であったの、その息子が狸の掌で踊っておるか」

「左様、如水は謀事にかけては天下一、併し、愛嬌がございましたな」

 山城守の話にも上の空で景勝は何事か一心に思案している。

 暫し沈黙していた山城守が問いかけた。

「お屋形、合戦を控えて心配事でもございますか?」

「内府のことじゃ、奴が小山から反転した時の我等の戦術じゃ」

 その言葉を聞いた山城守の顔色が変わった。

「内府を追撃せぬと仰せにござるか?」

「思案中じゃ」

「お屋形は頭脳はそれがしに任せたと仰せになりましたな。この度の合戦

は、奴が小山から軍勢を反転する時が乾坤一擲の勝負にござるぞ」

「分かっておる。わしは関ヶ原での西軍と東軍の大軍同士の合戦の動き

や駆け引きが知りたいのじゃ。この勝負は時がかかろう」

 浅黒い顔色の景勝が顔面を紅潮させている。

「川中島合戦を思いだせ、一ヶ月もの睨み合いの末に合戦となった。今回

の合戦はこの日本を二分した大戦となろう、勝敗が付くまでには何か月も

長い月日がかかろう」 

 景勝の剽悍な眼が炯々と輝いている。

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Last updated  Nov 13, 2012 04:16:51 PM
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