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Nov 16, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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「改定  上杉景勝」 (111)


 この前代未聞の提案に参集した諸大名は、声を失ったが、我も我もと

争って同意した。ここで遅れをとったら内府にどう思われるか。

 彼等の思惑は別として、ことの成り行きであった。

 彼等よりも驚いたのは家康自身であった。このような発言を受けようとは

思いもしなかった。家康は見苦しいほど狂喜した。

「対州殿、かたじけない」

 上座から駆け降り山内一豊の手をとり、その手を押し戴いた。

 この提案で後に山内一豊は、土佐一国を領することになるのだ。

 その後、本多平八郎の音頭で軍議が開かれた。

「石田三成が蜂起した今、上杉家を討ち果たすべきか軍勢を返すべきか

皆様のご意見をお聞き致したい」

 本多平八郎の声が響き、家康が肥満した体躯を床几に据えてさりげなく

一座の様子を見回している。

「痴れたこと。これより上洛し、治部少輔とそれに加担する者共を討ち果た

すべきにござる」

 福島正則が今にも出陣する勢いを見せた。

「左衛門太夫、我等の背後には上杉勢が居ることを忘れたか?」

 黒田長政が正則を諭した。その言葉に福島正則が顔を染めた。

「方々に申す。上杉景勝は稀有の武将にござる。わしは背後を襲うことは

ないと断言いたす。また伊達政宗が白石城を陥し、上杉領を狙ってござる」

「なんとー、伊達勢が上杉勢の背後を衝いておりますのか?」

「すぐに最上義光も参戦いたすでありましょうな」

  家康が声を高め、己の考えを述べた。

「ならばこの小山から軍を返し、上洛いたしましょう」

 細川忠興と浅野幸長が異口同音に、軍勢の反転を主張した。

 歴戦の猛将の本多平八郎はこの機を逃さなかった。

「ご異存はございませぬな、さらば先鋒は我等一存で決め申した。

福島正則殿に池田輝政殿にお願いいたす」

「畏まりました」

「さらばおのおの方、この小山から軍を退き上洛していただく」

「お訊ねいたす。内府は如何なされます?」

「福島殿、わしは一先ず江戸に赴きやり遂げることがござる」

 家康がさりげない口調で答えた。

「我等のみで上洛いたしますのか?」

 福島正則が不審顔で訊ねた。

「方々は福島殿の尾張清州城で軍勢を止められよ。わしも清州に向い

ご一同と合流いたす」

 これが世に名高い「小山評定」であった。

 翌日から諸大名の軍勢が奥州街道をせめぎあって南下して行く。

 家康本隊は小山から動かず、上杉勢の形勢を展望している。

(景勝、わしの反転を待って討ってでるか)この一点に的を絞っていた。

 そうしながら家康は伊達、最上との連携を保ち、会津、常陸の牽制役とし

て、結城秀康に大軍を与え、宇都宮に駐留させ東軍の指揮を命じている。

 何度も言うが家康という男は、臆病なほど猜疑心が強い男であった。

 人は利に弱い、これが彼を小心にさせ慎重にさせていたのだ。

 家康動くの報せで上杉勢が国境に大軍を集結させた。

 遥か彼方に西軍の旗指物が西へと動いているが、本営辺りの葵の旗指物

は微動だにしない。流石は家康である。

 愛の前立ての兜を被った直江山城守と行人包の景勝は、騎馬を並べその

様子を眺めている。

 毘と龍の戦旗が風に靡き、配下の大軍は国境線におりふし、お屋形の

下知を待っている。

 もし万一、国境に一歩でも踏み込んだら一兵残らず皆殺しにする。

 そうした景勝の心中をあざ笑うように、家康は万全をきして徳川本隊を

率い、八月五日に江戸城に帰還した。

 その間、上杉勢は景勝の命を守り一兵も国境から足を踏み出すことも

せず、去り行く徳川本隊を無言で見つめていた。

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Last updated  Nov 16, 2012 10:59:48 AM
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