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「貴様ア、上官を愚弄(ぐろう)する気かア」
「なアにが上官だア。お前のような亡国の奸属が上官などとは、かたはら痛いわ」 東条英機が額と顎に青筋を立て、ヒステリックな絶叫調で唾をとばすと、石原莞爾も「応」とにらみ返す。 「出て行けえッ。これで済むと思うなよおッ」 「やれるものならやってみやがれ。そのかわり、相撃ちを覚悟しとけよっ、上官ドノッ」 石原は東条の部屋を飛び出し自室に戻るや、ガクッと椅子に腰かけた。 「ああ、また言ってしまった、やっちまった。しゃーねーな、性分だもんな。しかし、あの東条って野郎はジツにいやな奴だなあ。もう、満州に帰りてえよ。その前にヤツから殺されるかもしれねえけどなあ」 石原莞爾は制服組の超エリートなのだが、なぜだかその天の邪鬼な性格が災いして出世のトップコースからは外れてしまう、というか、外されてしまう。 しかし今度ばかりは出世コースから外れるくらいでは済まず、軍籍を剥奪されるか、最悪殺されるかもしれない。 公然と東条批判をやった中野正剛も詰め腹を切らされた。 「こんな時代に生きてたって仕方ねえし、呉れてやるか、この命」 暴れん坊将軍、石原莞爾の面目躍如、であるか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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