|
カテゴリ:カテゴリ未分類
「出口 王仁三郎、只今から貴様を不敬罪の容疑によって取調べる」
「む、わしの名が出口 王仁三郎であることは間違いではない。しかし、不敬罪とはどういうことだ」 「不敬罪とは畏れ多くも天皇陛下を軽んじたてまつることだ」 「なにをもって陛下を軽んずというかっ」 警察の取調室の中ではあり取調官である警察官が優位であるはずなのだが、人間の魂の大きさや度量の違いは比べようがなく彼我の立場が逆転する。 「我が国は天皇陛下を奉戴して国体を護持しているにもかかわらず、貴様は貴様が信奉する神こそがこの国・この世界を統治しておると申しておるそうではないか」 「然り。陛下も神の子であり、わしもまた神の子である。そして、我が日本国は世界の雛型(えな)である。わしらは神の遣いとしてこの世界を平和安穏にしなければならぬと申しておるのだ」 「貴様、自分を畏れ多くも陛下と同列に置く気か。世間に吹聴しておるが如く、有栖川親王 殿下のご落胤だというかっ」 取調官は鬼の首を獲ったかのように満足げに、しかし、ひきつった笑いを浮かべた。 「出口王仁三郎はありもせぬ出自を楯に国体に反逆する属であると認めた。直ちに獄に収監し、後刻改めて厳しく詮議する。覚悟せい」 古来、宗教は政権とは相反する性格をもっていて、常に弾圧の対象となった。 私のブログ編集の目的上、ここでは「革命家」としたが、大本教(正確には「皇道大本」)の事実上の教祖である出口王仁三郎の被弾圧物語だ。 大日本帝国至上主義を信奉する時代に、アジア主義を唱えた頭山満、中野正剛、緒方竹虎、石原莞爾、世界連邦を唱えた出口王仁三郎と、命を的に己の信じる道を邁進した文字通り「骨太」の男達の生態(いきざま)が潔く小気味いい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|