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この冬、ノーウォークウイルス( = ノロウイルス ) や インフルエンザウイルス の 流行から、市場には様々な ウイルス対策グッズ が出回っています。 アルコールなどの消毒剤、除菌剤 や イオンなどを放出する 空気清浄機 などの家電等、 そして最近、特に今年になってからよく見られるようになったのが、 携帯型空間除菌剤 と呼ばれるもので、 カードのようなものをストラップを用いて首から下げるタイプのもの。 名刺サイズ程度の薄い袋に入った薬剤を、社員証などのように首から下げるというもので、 その手軽さ、価格の安さなどから売れ行きを伸ばし、数十万個が市場に出ているそうです。 そのうちのひとつ、 『 ウイルスプロテクター 』 という名前の商品について、 使用を直ちに止める ようにと、昨日、消費者庁から発表がありました。 使用していた幼児が胸に 化学熱傷 (やけど) を負ったことがその理由でした。 他にも、同じく胸に熱傷を負ったり、ポケットに入れていて足に熱傷を負ったりした例が いくつか報告されているそうです。 実は1ヶ月ほど前にこの商品を知る機会があって、成分等について少し調べていました。 そこで分かったのが、下記のようなことでした。 ◎ 同じ塩素系成分 (二酸化塩素) が入っているものでも、置き型のものや、 今回の商品のような首から下げるタイプがあるということ ◎ 商品によって、その成分の放出速度や有効期間がバラバラであること ◎ 飲み込んだりした際の毒性や処置法は分かっているものの、日本においては 吸入した場合の毒性についてのデータが無く、安全性が確認されていないこと ◎ 成分は塩素系漂白剤と同じ( 次亜塩素酸ナトリウム )で、濃度によっては 接触で炎症や熱傷を起こすこと ◎ 成分は、条件によっては水分や空気、光との反応で毒性の強い塩素ガスや塩酸など、 他の危険な成分を生成することもあるということ ◎ ウイルスやカビの除去、除菌についてはおそらく問題はないが、 「インフルエンザ予防」などと書くことは薬事法に抵触する可能性があること そして、 ◎ いくつかある同様の商品の中でも、今回問題になった ウイルスプロテクター は 輸入元、販売者の情報はあるが、製造者や成分表示などの情報が乏しく、 製品としての信頼性が不明であること 今回の商品については、消費者庁が使用の中止を呼びかけるとともに、厚生労働省が 自主回収を促しているとのことです。 お手元にお持ちの方、周りで使われているのをご存じの方は、どうぞ情報を共有して、 使用を中止するようにしてください。 万が一、事故に遭われ、熱傷を負ったり痛みを感じた場合はすぐにぬるま湯で良く洗い流し、 速やかに皮膚科を受診してください。 消費者庁のニュースリリース(PDF形式です) 類似の商品についても注意してくださいね。 ↑ ぽちっと応援よろしくお願いします ここからは余談ですが、この成分 次亜塩素酸ナトリウム は漂白剤の成分でもあり、 食品添加物や、台所洗剤、家庭用洗剤、哺乳瓶の消毒剤としても使用されます。 多くは水に溶かした液体として用いられますが、それは水溶液が使いやすいことと、 水に溶かしておいた方が成分自体が安定になるというのが理由の一部です。 熱、空気、光などに触れれば触れるほど、分解が進みます。 そして、化学実験や化学製造でもよく使います。 私も、家庭用のものより高濃度の試薬をよく使っていました。 少し黄緑色っぽい液体で、空気中、特に光に当てると不安定で、塩素ガスなどを生成します。 液体中の 次亜塩素酸ナトリウム が分解するとどんどん酸性に傾き、酸性のガスも出ます。 塩素ガス、酸性(塩酸など)のガスは腐食性があるので、吸うと危険ですし、皮膚にも 影響が出る場合があります。近くにある機械類等もすぐに錆びたりします。 取り扱い時は手袋とマスクはもちろん、誤ってガスを多量に吸わないように注意します。 大量(数十リットルなど)に扱うときは、ガスマスクの着用も必要です。 「 混ぜるな危険 」という表示をご覧になったことがあると思いますが、 扱い方次第では非常に危険なものです。 安全に使用できる保証がないものを子供などが簡単に触れる状態の商品にして販売する というのは、ちょっと考えにくいのですが、今回のように問題が起こってからの対応に なってしまう場合も多々ある、というのが実情です。 私がこの商品を知るきっかけを与えてくださった方は、賢明にも疑問を持たれたことで 使用を止めていらっしゃったそうです。 やはり、消費者自身も注意をしておかなければならないということかもしれませんね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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