|
カテゴリ:伝記
★「経営の価値を正当に評価すれば、特許料や技術指導料と同じように、
当然、これは主張しても良いことだと思う。」(p58) ★「会社の経営でも何でも、素直な心で見るということがきわめて大事」(p117) ★「傍目八目というけれど、渦中にいる自分には なかなか自分というものが分からない。」(p117) ★「芸術は、非常に価値の高い創造活動であるが、経営もそれと同じように 高い価値をもった創造活動といえるのではないだろうか。」(p137) 【サラっとく?】 ●小学校を4年で中退した松下幸之助さんは、若干22歳で事業を立ち上げます。 以来「ナショナル」や「パナソニック」といった世界ブランドを育て上げ、 戦後の日本経済に明かりを灯しました。本書はそんな松下氏による「人生の履歴書」。 ●「経営の神様」としての呼び名が高い松下幸之助氏、それは彼が「経営」の歴史に 残した足跡からも明らかです。今では世界の大企業のほとんどが採用する 「事業部制」を、日本においていち早く導入し、その模範を示したのがまず1つ。 ●さらに、今では常識になっている週休2日制をいち早く取り入れ、新たな雇用形態 の確立をしたというのがもう1つ。もちろん、こういった新たな試みには必ず、 大きな反発が伴うもの。本書はそういった過程において、松下さんが何を思い、 何を夢見て経営の舵取りをしてきたのか…それらを学べる「生きた教科書」です。 ●松下幸之助さんの本というのは、どれも10年以上前に書かれたものであるから、 決して目新しいことが書かれているわけではない。作家のように奇抜な文章スタイル で描かれているわけでもない。それでも、僕らを惹き付け続ける理由というのは、 その経営哲学に裏打ちされた1文1文の、鉛のような「重さ」にあるのかもしれません。 【突っ込んどく?】 ●「経営の価値を正当に評価すれば、特許料や技術指導料と同じように、 当然、これは主張しても良いことだと思う。」(p58) これは当時の、 オランダのフィリップス社との合弁の条件をめぐるエピソードです。 ●日本における新合弁会社で、技術はオランダの方から持ってくるが、経営の指導・ 監督は松下でやる…ならば、むこうが技術指導料を要求する代わり、こちらは 経営指導料というものを要求してしかるべき、というのが松下さんの意見でした。 ●松下哲学の根底には、この「経営には価値がある」という思想があります。 そもそも、経営を正当に評価せず、ロイヤリティーにまで高めていないことが 日本産業の抱える、根本的な弱みの1つ、とまで指摘しています。 ●経営学者の中には、「アメリカと日本における企業力の違いは、経営能力の違い」 と論じる方もいます。つまり、アメリカは経営者・幹部候補を早期に抜擢し、 徹底して帝王学を叩き込むが、日本は横並び思想が強く、才能のあるものでも、 実際にその能力を磨き始められるのが遅いということ。 ●日産のいわゆる「ゴーン改革」を皮切りに、最近はこの「経営」の価値が 見直されてきた感もあります。ただ、松下氏のいうような「経営に価値あり」 といった概念には、未だ結びついていないのが現状。時代を切り開く、 新たな「経営の神様」を目指したいと思います。 オススメ度★★★★☆ →・経営者、経営幹部 ・「経営の神様」と話したい方 ・「企業とは何か」哲学を深めたい方 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月10日 18時16分33秒
コメント(0) | コメントを書く |