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ここ読め本本!!―レビュー&書評―

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2004年08月06日
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カテゴリ:伝記
★「経営の価値を正当に評価すれば、特許料や技術指導料と同じように、
 
  当然、これは主張しても良いことだと思う。」(p58)

★「会社の経営でも何でも、素直な心で見るということがきわめて大事」(p117)

★「傍目八目というけれど、渦中にいる自分には

  なかなか自分というものが分からない。」(p117)

★「芸術は、非常に価値の高い創造活動であるが、経営もそれと同じように

  高い価値をもった創造活動といえるのではないだろうか。」(p137)


【サラっとく?】


●小学校を4年で中退した松下幸之助さんは、若干22歳で事業を立ち上げます。

 以来「ナショナル」や「パナソニック」といった世界ブランドを育て上げ、

 戦後の日本経済に明かりを灯しました。本書はそんな松下氏による「人生の履歴書」。


●「経営の神様」としての呼び名が高い松下幸之助氏、それは彼が「経営」の歴史に

 残した足跡からも明らかです。今では世界の大企業のほとんどが採用する

 「事業部制」を、日本においていち早く導入し、その模範を示したのがまず1つ。


●さらに、今では常識になっている週休2日制をいち早く取り入れ、新たな雇用形態

 の確立をしたというのがもう1つ。もちろん、こういった新たな試みには必ず、

 大きな反発が伴うもの。本書はそういった過程において、松下さんが何を思い、

 何を夢見て経営の舵取りをしてきたのか…それらを学べる「生きた教科書」です。


●松下幸之助さんの本というのは、どれも10年以上前に書かれたものであるから、

 決して目新しいことが書かれているわけではない。作家のように奇抜な文章スタイル

 で描かれているわけでもない。それでも、僕らを惹き付け続ける理由というのは、

 その経営哲学に裏打ちされた1文1文の、鉛のような「重さ」にあるのかもしれません。


【突っ込んどく?】


●「経営の価値を正当に評価すれば、特許料や技術指導料と同じように、

  当然、これは主張しても良いことだと思う。」(p58) これは当時の、

  オランダのフィリップス社との合弁の条件をめぐるエピソードです。


●日本における新合弁会社で、技術はオランダの方から持ってくるが、経営の指導・

監督は松下でやる…ならば、むこうが技術指導料を要求する代わり、こちらは

 経営指導料というものを要求してしかるべき、というのが松下さんの意見でした。


●松下哲学の根底には、この「経営には価値がある」という思想があります。

 そもそも、経営を正当に評価せず、ロイヤリティーにまで高めていないことが

 日本産業の抱える、根本的な弱みの1つ、とまで指摘しています。


●経営学者の中には、「アメリカと日本における企業力の違いは、経営能力の違い」

 と論じる方もいます。つまり、アメリカは経営者・幹部候補を早期に抜擢し、

 徹底して帝王学を叩き込むが、日本は横並び思想が強く、才能のあるものでも、

 実際にその能力を磨き始められるのが遅いということ。


●日産のいわゆる「ゴーン改革」を皮切りに、最近はこの「経営」の価値が

 見直されてきた感もあります。ただ、松下氏のいうような「経営に価値あり」

 といった概念には、未だ結びついていないのが現状。時代を切り開く、

 新たな「経営の神様」を目指したいと思います。



オススメ度★★★★☆

→・経営者、経営幹部

  ・「経営の神様」と話したい方

  ・「企業とは何か」哲学を深めたい方





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最終更新日  2004年08月10日 18時16分33秒
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