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ここ読め本本!!―レビュー&書評―

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2005年02月04日
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カテゴリ:カテゴリ未分類

★「破綻しそうになったメガバンクに対して政府が厳しい姿勢で臨むとなると、
  破綻した銀行から大量の国債が売却され、国債価格は暴落する。」(p29)

★「デフレで損をするのか得をするのかは一概には言えない。」(p115)

★「国債発行は、将来の国民への税金を意味するので、
  現在の貸し出しリスクを将来世代に負担させていることになる。」(p167)

★「預金者が預金保護で手厚く保護されている国の方が、
  実は銀行危機が頻発している」(p172)

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        【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~
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          『金融立国試論』 櫻川昌哉
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●これほどまでに痛快な金融の本は読んだことがありません。

 「われわれ日本人は元本保証ボケである」「だめな銀行は思い切って破綻させた

  方がよい」「郵貯は存在自体が無責任である」などなど…

 歯切れ良い口調で、日本の金融システムの問題点を暴き出していきます。


●日本の金融が弱いというのはよく言われることですが、そもそも日本は

 「オーバーバンキング=預金過剰」が発生するほどに潤沢な金融資産を

 保有しています。そんな日本が海外から借金までしているアメリカに

 金融で負けるなんてあり得ない!これが著者の問題意識の発端となっています。


●あり得ないはずのことがおきているのは、日本の金融があり得ない仕組みで

 動いているからに他なりません。本書はそれを「オーバーバンキング」、

 「不良債権問題」、「デフレ」、「ペイオフ」、「郵貯民営化」といった金融の

 主要トピックから掘り下げていきます。


●ともすれば経済や金融の本というのは難解な語を並べ立てただけの、

 取っ付き難いものになりがちですが、本書は「ボケ」や「バカ」などという

 言葉が登場するほど、明快かつストレートな内容に仕上がっています(笑)

 金融をかじりたい初心者にも、鋭く掘り下げたい専門家にもお薦めの1冊。


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        【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~
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   「デフレで損をするのか得をするのかは一概には言えない。」(p115)
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●「デフレ不況」が叫ばれて久しい今日ですが、そもそも「デフレ」という現象

 それ自体はプラスでもマイナスでもありません。一般物価が下がることを示し

 ますが、物価が下がればその分給料も下がるので、実質的な違いはないのです。

 では何が問題なのかというと、デフレを通じて所得の再分配が行われること。


●銀行からお金を借りていた人は、借りた時よりも現実の物価が下がってしまうので

 その分たくさんのお金を返済しなければいけません。反対に銀行にお金を預けていた

 人は、預けた当初よりも物価が下がっているので、実質的にたくさんのお金を引き

 出して使えることになります。


●デフレで損をする人もいれば得をする人もいるので、全体で見れば正でも負でも

 ないのです。ではなぜ何かとデフレが不況の元凶かのように扱われるかというと

 損をした人が騒ぐ一方で得をした人は黙っている、またマスコミも儲けた人の話は

 面白くないので負の部分ばかりを取り上げ「不況だ!」と騒ぎ立てるからなのです。


●マスコミは大衆の関心を惹くことで成り立っている業界だということを忘れては

 いけません。「起業」や「ベンチャー」についても何かと成功者の美談ばかりが

 クローズアップされている今日ですが、その背後には悔しくも散っていった無数の

 挑戦者たちの姿があるのです。


●自分が触れている情報はどういった価値観に影響されているのか?

 正反対の視点から見てみたらそこには何が見えるのだろうか?

 マスコミの伝える「事実」と、自分が信じる「事実」の間に、

 「考える」というワンクッションを常に敷いておきたいものです。



□■エッセンス■□

・「デフレで損をするのか得をするのかは一概には言えない。」(p115)

▼あなたは一面的なものの見方に囚われていませんか?


□■今日の紹介書籍■□

『金融立国試論』 櫻川昌哉

『金融立国試論』

オススメ度★★★★☆

→・金融の仕組みを知りたい方
 ・自分の資産をしっかり守りたい方
 ・複眼的なものの見方を身に付けたい方





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最終更新日  2005年02月08日 00時22分36秒
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