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★「コンピューターはコードにしたがってだけ「考える」から、 このコード自体の「正しさ」をけっして判定することができない」(p19) ★「自分の認識が<客観>に「一致」するかどうか <主観>にはけっして判定することができない」(p19) ★「世の中にはより正しい認識やより不完全な認識があるのではない。 そうではなくてより優勢な認識(解釈)と、より劣勢な認識(解釈)があるだけ」(p32) ★「<知覚>は<覚>だけでは成立せず、<知>を含んでいる」(p54)) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日のブックレビュー】 ~名著の紹介~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『現象学入門』 竹田青嗣 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ●「この目でみた世界と実現する世界は同じものなのか?」 デカルト以来、近代哲学がこれまで抱えてきたこの根本課題に対して 新たな解を投げ出したのがドイツの哲学者フッサールの提唱する「現象学」です。 ●面白いのがフッサールという人物はもともと数学者として出発しているという点。 「1+1=2」や「4÷2=2」といったふうに、確実で「厳密」な ものを扱う数学に対し、哲学は人間の「感情」や「思考」といった曖昧で、 ある意味捉えどころのないものを対象とします ●彼の提唱する「現象学」やその論理が非常にユニークなのも、 1つここに依拠しているのかもしれません。ただし、フッサールの 原著自体は非常に難解な言葉で書かれており、読みこなすのに一苦労。 「入門書」として、まずはこの本を手に取ることをお薦めします。 ●「夢と現実の境って一体なんだろう?」「宇宙の果ては存在するのか?」 「この世に誰にも疑い得ない“真実(ファクト”ってあるのだろうか?」 そんな哲学的な問いや「考える」こと自体が大好きな方に、読んで欲しい1冊。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【本日の<ここ読め!>】 ~名文の掘り下げ~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「自分の認識が<客観>に「一致」するかどうか <主観>にはけっして判定することができない」(p19) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ●これが冒頭で紹介した「この目でみた世界と実現する世界は同じものなのか?」 という根本課題の背景にある思想です。我々の頭脳を1種のコンピューターと して考えましょう。コンピューターはご存知のように「0」「1」といった ある種の「コード」の組み合わせで物事を捉えています。 ●そしてコンピューターの考えていること(主観)が正しいかどうかを 客観的に判断するには、このコード自体の正しさを証明しなければならない。 その正しさを判別するコードを「メタ・コード」と呼びますが、今度はその 「メタ・コード」自体の正しさを判別する「メタ・メタ・コード」が必要になる…。 ●こう考えていくと、コンピューターが「コード」という主観によって考えている 限り、それが本当にこの世の「客観」に一致しているかどうかは、究極的には判断 不能ということになります。同じように人間も「主観」で動いている以上、そこで 捉えている世界が「客観」に一致するかどうかは誰にも判断することができません。 ●この問題に対しデカルトは「神」を持ち出すことで「主観―客観」の一致を証明し、 カントは人間には「客観」を認識することができないと提唱、ニーチェに至っては 「客観」それ自体が存在しないと説いています。 ●僕自身、この世界というのは「客観」ではなく「主観」の集合体に過ぎないんじゃ ないかと考えています。鬱病・殺人・貧困・戦争…現代に潜む多くの問題も、唯一つ の「客観」を求めることから発生しているものが少なくないのではないでしょうか。 自分の内側に客観は求めても、世界に客観を押し付ける事だけはしたくありませんね。 □■エッセンス■□ ・「自分の認識が<客観>に「一致」するかどうか <主観>にはけっして判定することができない」(p19) ▼あなたの考えている「客観」は他の人にとっても「客観」でしょうか? □■今日の紹介書籍■□ 『現象学入門』 竹田青嗣 オススメ度★★★☆☆ →・「主観」と「客観」について深く考えたい方 ・近代哲学を体系的に捉え直したい方 ・「考える力」を磨きたい方 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年02月22日 09時19分13秒
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