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カテゴリ:音楽
カール・ベームとウィーン・フィルの1977年の来日公演での演奏でベートヴェンの交響曲第5番。ちなみに先日紹介したカラヤンの第5の第4楽章と聴き比べをされる方は、29分あたりから聴くのが宜しいかと。 演奏に先だち、カール・ベームがインタビューに答えていた言葉が面白かったので、書き留めてみた。 ウィーフィルの大きな特色は、彼らが同じ言葉、つまりウィーン訛りで話すというだけでなく、音楽的にも同じ言葉を話すということです。 ウィーン・フィルとベルリン・フィルのどちらかと言われると、やはりウィーン・フィルですね。私はオーストリア人ですから。メンバーには30年以上も前からの知り合いもいます。彼らの長所も弱点もよく知ってます。ベルリン・フィルの方もかなり前から知ってます。 この二つのオーケストラの相違は例えばこういうことです。ベルリン・フィルは要するにプロシア的なのです。本来非常に規律正しい人たちなのです。ですから中位か、またはもっと悪い指揮者の場合でも演奏は常にある水準を保ち、それより落ちることはない。 しかしウィーン・フィルではあまりよくない指揮者が来るとみんなまったく敬意を払わないし、みんなが言い始める。「あのエロイカの第1楽章のテンポは完全にまちがいだ。」「それならわれわれの方がよく知っている。」 ウィーン・フィルの場合、指揮者がよくないと全くバラバラになってしまうのです。こんなことはベルリン・フィルでは、決して起こりません。ただウィーン・フィルでは全員がインスピレーションを与えられたときは、本来の姿よりもはるかに偉大なことをやり遂げるのです。およそ考えうるかぎりの素晴らしいことを実現します。 なるほどベルリン・フィルとウィーン・フィルの違いについての、興味深い巨匠のお言葉でした。
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