ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるベートヴェンの交響曲第9番ニ短調作品125《合唱つき》から、第4楽章を1942年4月19日のライヴ録音ッスねぇ。
この演奏を聴いて「あれぇ?」と思った人もいるのでは?昔の録音だとレコードのスクラッチノイズが入って「バチッ」って音がするんですけど、この録音にはないですよねぇ。
実は昨日、
テープレコーダーについて調べてわかったんですよ。第二次世界大戦中にナチス・ドイツが、政治宣伝・対敵宣撫放送用のメディアとして既に開発されていたテープレコーダの
マグネトフォンを大いに活用していたらしいんだが、コレを使ってアドルフ・ヒトラーの長大な演説やクラシック音楽を録音していたですなぁ。Wikipediaによると「レコード針等の雑音・ディスク交換による中断などなしにいつでも連続録音・再生できることは、放送用メディアとしての非常な利便性であった。ラジオ放送用としてフルトヴェングラー指揮によるベルリン・フィルの演奏もテープ録音され、貴重な歴史的音源となっている。この過程では、複数トラックを適切に分離して同時録音できる特徴を活かし、ステレオ録音もすでに試みられていたという。」とありますねぇ。しかも脚注に「その貴重な録音テープの一部は、第二次大戦終結後にテープレコーダーシステム共々ソビエト連邦に収奪され、ソ連の国営レコード会社メロディアからレコード化されて売り捌かれた。」と書いてあって、今こうして貴重な録音が聴くことが出来るというわけですよ。
追伸 戦時下の緊張感のあるライブ演奏。フルトヴェングラーは、戦後、戦時中のナチ協力を疑われたこともあるんだが、彼はこの時何を思って演奏してたんだろう?スタンリー・キューブリックの映画「時計じかけのオレンジ」で第九が使われたんだが、ある意味この演奏が最適かもと思ってしまう。