カテゴリ:独りの時間
それは、うっかり車のバンパーを擦ってしまって、修理を頼もうと友人が経営してる自動車修理工場へ行った時のことだった... いつもなら、修理待ちの車が並んで、若い整備士が忙しく立ち働いて活気のある工場のハズ。 ところが、その日に限って人影もなく、休日でもないのに明かりすら消えてる。 不思議に思って、俺は車を横付けして停め、開け放たれたシャッターから工場の中に入ってみた。 ちょうど陽も落ちた頃で、ほの暗い工場内だった。 キィー、キィーときしむような音がしたので目を凝らすと、奥の事務所の影になった一層暗い片隅に、何かが中途半端な高さでぶら下がって揺れてるのがぼんやりと見えたんだ。 何だろうと思って、それを確かめようと近づいた。 間近まで行くと、有り得ないことだけど... ちょうど俺の目の高さぐらいの所に、白いスニーカーが宙に浮いてて、ゆらゆら揺れてるんだ。 そして、そっと上を見上げた途端、血の気が引き、全身鳥肌が立ってその場に凍りついてしまった。 俺が、見上げた視線の上にあったものは、首にナイロンのロープを巻き付けて、天井からぶら下がっている見知らぬ男だった。 そして、その胴体が左右に揺れる度に、ロープが結ばれている天井の木製の梁がきしんで、キィー、キィーと音がしてたんだ。 男は、黒いトレーナーにジーンズ、白いナイキのスニーカー。 歳は30歳前後だろうか... 深く食い込んだロープで、男の首は長く伸びて、不自然に歪んだ半開き唇の端が、かすかに痙攣した。 「シュゥ、シューゥ、シューゥー...」 異様な音がしたかと思うと、男の唇が震え、泡が吹き出し、体が大きくビクンと動いて、突然目を開き、俺と目が合った。 「いぃ、生きてる!」 だけど、助けようにもカラダが動かず、男から目を反らすことすらできないでいた。 ぶら下がってる男は、一度大きく目を剥いて睨んだかと思うと、急に虚ろな目になり、ガクっと力が抜けたようになって動かなくなった。 男のジーンズの股間は、見る見る失禁で濡れだして、スニーカーを伝って尿が床にポタポタこぼれはじめた... その時、枕元で携帯電話が鳴って、砂天狗は昼寝から目覚めたよ。 電話は、当の修理工場の友人からだったよ(笑) 勿論、車は擦ってないし修理にも出してない。 全部夢だった... でもさぁ、あのリアルに恐ろしい夢が頭から離れないんだ。 最近見る夢は凄惨な夢が多い。 病んでるかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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