カテゴリ:独りの時間
放置された棚田の畦に、季節に置き去りにされたようにして、 たった一輪、雛桔梗(ひなぎきょう)の花が風に煽られながら咲いていた。 その凛とした立ち姿と、淡い青紫に魅せられて立ち止まった。 讃岐の地は、近畿より幾分暖かいとはいえ、吹く風は冷たく、 花の咲き姿と相まって、より儚く切なく、目に映った。 日曜に出かけた讃岐の野で、こんな出逢いが待っていようとは... 雛桔梗は、初夏から晩夏にかけて野に咲く花。 キキョウ科 ヒナギキョウ属の花は、日本ではただ一種だけの花。 小さく愛らしい花で、茎は針のように細長く、茎の上に一輪だけ花をつける。 関東より西でしか見られない花でもあり、小さく目立たない花でもある。 砂は、何故かこの小さい青紫に、目を誘われるように見つけてしまう。 "花は狂い咲きとて花開かば旬"... 愛でながらそっとシャッターを押した。 前に、季節外れの雛桔梗を見たのは、神戸の震災のニヶ月前だった。 我が友は、今頃ほろ酔いで三途の川を渡っているだろうな。 あの世で、もし伊藤若冲に出遭ったら、よろしく伝えて欲しい。 砂が、"軍鶏"の大ファンだと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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