カテゴリ:独りの時間
時折、ぷらっと出かける岬は海浜植物が自生して眺めもよく、
大型船の航行や海鳥も見られる。 岬には、無料の駐車スペースがある。 表向きは無料と書かれているが安心していてはいけない。 裏事情を知らぬ者は、あとで痛い目に遭う。 岬の海に面した一帯は、浪人ニャンコの支配下にあるのだ。 まず、岬に通じる道端に見張りがいる。 下っ端ニャンコに会釈して先へ進む。 すると、駐車スペースの入口に関所が見えてくる。 関所とおぼしき所には、ひときわ眼光鋭いニャンコ侍が道を塞ぐ。 シカトして、横をすり抜けてもよいが、 砂にそんな度胸はない。 ドアを開け、用意したワイロを渡すと、 すんなり奥へ通してもらえる。 いよいよ浪人ニャンコ一党の本陣だ。 駐車スペースにクルマを入れると、 御頭(おかしら)が喉を鳴らし、供を従えやって来る。 ここで礼儀を失すると、もはや無事には戻れない... 挨拶代わりに、御頭をひと撫でして、 持参したちくわと魚肉ソーセージを出す。 浪々の身とはいえ、一党を束ねる御頭はさすがの気品。 他の雑兵どもとは血筋も違う。 さぞや高貴なご身分の、シャムの末裔とみた。 「どことなく品格をお持ちだ」などと、 撫で撫でして誉め称えると、益々ご機嫌麗しい。 宴が済むと、御頭は配下とともに去って行き、 礼儀を尽くした見返りに、駐車したクルマは手厚い保護が約束される。 これが、岬の暗黙の掟だ。 警護役に就くニャンコ侍は、凛々しく頼もしい。 まるで、殿様の籠を護る若武者だ。 「お役目、大儀であった!」 こうして岬の掟を知る者は、大名気分を味わえるが、 掟を破る者たちは、タイヤにおしっこかけられて、 気分を凹まされるのだ・・・(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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