テーマ:お勧めの本(7364)
カテゴリ:砂的古典文学のススメ
「女殺油地獄(おんなころし あぶらのじごく)」は、近松門左衛門の世話物話で、
享保六年(1721)に文楽(人形浄瑠璃)で初演されている。 本作も、大坂で実際に起きた事件を基に書き下ろした作品だといわれているが、 事件の全容については未だ確認されていないという。 人気の近松作品ということで、一度は歌舞伎の演目になったが興行的に失敗し、 歌舞伎でも文楽でも、上演は一旦途絶えていたらしい。 坪内逍遙らが本作を再評価し、明治四十二年に歌舞伎で復刻上演され、 文楽でも、昭和二十七年に復活して現在に至る... 殺油地獄(上の巻) (※脚色を加え、オリジナルとは異なる表現があることをご了承いただきたい。) 大坂天満にある油屋の豊嶋屋は、河内屋からのれん分けされた油屋で、 かつてお吉は河内屋へ奉公に出て、そこの次男坊与兵衛の乳母代わりもした。 その与兵衛が4才の折り、河内屋の主人が突然の病で他界。 その後、母のお沢が大番頭の徳兵衛と再婚した頃から与兵衛は放蕩を繰り返し、 その度に、お吉は与兵衛の尻ぬぐいをした。 ある日、お吉は与兵衛が油屋元締の小倉屋市兵衛の一人娘の小菊と恋仲になり、 逢う瀬を重ねていることを知ってしまう。 二人の関係が、表沙汰になることを案じたお吉は、与兵衛に意見するが聞く耳を持たず、 なおも二人は淫らな関係を続け、遂に捕縛される不始末を起こす。 この時は、市兵衛の口利きで何とか与兵衛は放免となったが、 市兵衛は、娘と別れないなら油の株仲間から河内屋を外すといい出した。 今までは、目をつぶってきた義父の徳兵衛だったが今度ばかりは許さず、 与兵衛を激しく打ち据え、関係を絶つよう迫るが与兵衛は開き直り、 心配するお吉に心中するとまで口走る。 数日後、与兵衛は家を抜け出し、小倉屋から密かに小菊を連れ出すが、 駆け落ちという非日常が、異常なまでに小菊を興奮させたようで、 小菊の変貌振りに驚いた与兵衛はお吉に助けを求めた。 お吉は、小菊を小倉屋の手代に引渡し、与兵衛に女の魔性を語り諭す。 ほどなく、小菊は小倉屋から嫁に出しされ、与兵衛の方も目を覚ましたと見え、 仕事に精を出すようになったが、平穏な日も長くは続かなかった。 ある日、小菊が与兵衛を誘い出し、再び二人の密会がはじまってしまう。 お吉は、小菊に会って忠告したが、小菊は薄笑いを浮かべ聞き入れようとしない。 さらに、相手を嘲るような小菊の態度は、お吉の心に魔性を芽生えさせ、 女の意地と嫉妬の情念を燃え上がらせた。 あんな小娘に与兵衛をくれてやるものかと、お吉は遂に与兵衛と激しい情を交わし、 それが後に悲劇の迎え火となるのだった・・・。 物語は明日につづく...m(_ _)m さて、1月14日からNHK総合で放映される木曜時代劇は近松門左衛門。 しかし、作家としてスランプに陥ったダメ男という風変わりな設定だ。 近松を松尾スズキが演じ、お節介な渡世人とともに大坂をお騒がせする。 モチーフは曽根崎心中だが、人情喜劇として脚色されている。 あまり馴染みのない、古典に興味を持つイイ機会になるともよい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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