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北海道にいた頃、真冬の時期によく見かけた雪の結晶。 多分、最初の頃は感動していたのだろう。しかしそれはいつの間にか当たり前の現象であり、寒さの象徴となり、綺麗という感情よりも「寒い」という感情が真っ先に浮かびあがっていた。 六花(りっか) 《結晶が六角形であるところから》雪の異称。むつのはな。ろっか。 goo辞書より引用 ここ連日、全国的に再び寒波に襲われているようだ。私の住んでいる長野県も例外ではない。記録的な大雪が降っており、列車も高速バスも運休。交通や流通等に大きな影響が出ている状況。 私からすれば見慣れた雪景色や凍結した道路もこちらでは生活に大きく支障をきたす厄介者の側面が大きい。 今回の記録的な大雪は積雪は20センチ前後あるらしい。いつもはたまに降っても1日か2日で消える雪も雪の多さと日中の気温なのだが、今回は中々溶けずそのままザクザクで歩道はもちろん、国道などにも雪が残っている。そして夜から朝にかけてはマイナス10度前後まで下がる土地なので道は凍結する。 通常10分の道が1時間近くかかって到着する事象が街中の至るところで起きている。今日も何人か積雪による渋滞で遅刻してきた人がいた。 降ってくる雪は北海道でいうなら春先にふるベト雪だ。一見粉雪に見えるのだが…(ベト雪→湿気を多く含んだベショベショの雪。昨日、雪降る中を徒歩10分歩いた。着てきたダウンは小雨の中を歩いてきたかのようにベショベショになって半日は干す羽目になった) 真冬にベタ雪(というのは本当に気分が惨めになる。春先のベタ雪なら春の訪れを告げる事象の一つであるが、真冬にベショベショの雪というのはなんと解釈したらよいのだろうか。この土地に約10年になるが未だに慣れない事の一つである。 実は私の職場も雪のために大混乱をきたしているのが現実だ。正直、明日は休みでほっとしている。もう、ヘトヘトだ。 北海道は色々恩恵を受けていたとはいえ、本当に雪の対策は良く出来ていたと今更ながら感心している次第である。 今から15年以上前、札幌から何百キロも離れた海沿いのある街。 早朝といえども空は真っ暗で星が出ている時間に出勤する。 こちらがおはようございますと挨拶すると「今日もよくしばれてるわ~」が開口一番の人が時々いた。しかし、声だけでその人はこちらを振り向かず、ひたすら扉を長靴でガンガン蹴っている。扉が凍って開かないのだ。しかし、何度扉を蹴っても開かない。私は事務室にいってストーブの上に置いてあるやかんのお湯をもらってきて渡す。その人は扉にお湯をかけてまた扉を蹴る。 そんな事を繰り返してやっと扉が開いたと言いつつ私達は乗り込んでいく。 数分後、私はコートを脱いでスカーフを巻き、長靴に防寒ジャンバーを着こんでいた田舎のおっさんはスーツに制帽、皮靴となかなか絵に描いたような制服姿の男性に変わっていた。 室内は暖房はついてるがそれでも吐く息が白い。一晩暖房入ってなかったから。しかし外気にさらされている外よりははるかにマシだ。 そんな中、今度は室内から先ほどガンガン蹴っていた扉に目をやる。 本来は透明ガラスなので外の光景が見えるのが当たりまえ。しかし、おかしな事に外の景色は何一つ見えない。そのかわりガラスに映るのは「雪の結晶」である。ガラス一面びっしりに覆われた真っ白い霜と立体感のある雪の結晶。よくしばれた日の朝の象徴。寒い訳だ。 しかし、その雪の結晶は立体感のある草木の押し花に見えてとても美しい。人工的な技巧をどんなに凝らしてもこれだけ美しい造形物を作りだす事は出来ないであろう。原始、芸術とは一種の自然の模倣から始まったと私は考える。だからその自然の結晶を人間がどんなに真似てもそれは古代の人達がすでに真似したものであろう。そんな事をよく思っていた。そう、とにかく美しい草木を雪に押し花にして生命を与えたかのような不思議な結晶を稀に見る事が出来た。 (※「しばれる」とは寒さがとても厳しい日に使います。北海道や東北で使われる方言です) しかしその仕事は退職せざるを得なかった。 今はその土地から遠く離れた土地に暮らす。 六花という言葉どころか雪の結晶すら長年忘れていた。 そんな時、忘れかけた六花という言葉と出会ったのが こちらのブログであった。 小さな白い花が咲き乱れているように見える。 1度でも温度があがれば跡かたもなく消えてしまう。 儚き美しき小さな結晶。 六花(りっか) 存在を忘れていた。 再び目に触れた事を嬉しく思う。 どーでもいい追伸。 確かに北海道には帯広ヶ本店の「六花亭(ろっかてい)」というお菓子店がある。確かこの店名の由来は雪の結晶の「六花(りっか)」が由来だと思った。 お酒を包み込んだボンボン六花亭 六花のつゆ(缶入) ↑六花亭の菓子の中で小さいころから好きなお菓子の一つ。 コアントローとワイン味が特に好きだったな~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.01.16 10:51:27
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