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2006年06月24日
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カテゴリ:医療全体
 みなさまおはようございます。

 先ほど、NHKの(ニュース?)番組を見ていました。

 途中からだったのですが、新潟の松代病院の現実を特集していました。

 立派な鉄筋コンクリートの病院で、入院施設も外来もあります。

 でも、担当の医師が、3人しかいません。(以前は2人だったそうです)

 担当する地域の人口は9000人。
 その地域には、ほかに病院も診療所もありません。

 松代病院以外の病院を受診するためには、20kmとか30kmとか離れた、総合病院や大学病院へ行かなければならないそうです。

 密着取材(?)をお受けになっていた布施克也医師は、想像を絶する過酷さの中で、必死に、高齢者の多い地域の医療を支えていらっしゃいました。

 夜間の急患に対応する場合は、レントゲンの技師も血液検査の担当者もいないため、医師は、それらの機器も使いこなせるようになっているそうです。

 マルチプレイヤーでゼネラリストで、しかも大変タフなアスリートでなければ、こんなこと、勤められるはずがありません。
 しかも医師には、その患者に対してあらゆる病気の可能性を考慮し、正しい診断をすることが求められます。
 さらに、過酷な勤務により疲弊しきっていても、絶対にミスの許されない職業です。


 これは、この現実は、なんなのだろうか・・・・?

 苦境の中で善戦する松代病院に対し、新潟大学が何とかサポートするために、インターネット会議(?)を、専門医を交えて行ってくれるようになったそうです。

 判断の難しい診断・治療に関して、カルテやCTの画像を同時に見ながら、専門医とカンファレンスしていました。
 文明の利器を有効に活用しているなぁ・・・と、ネット社会は医学に多大な貢献をしているなぁ・・・と思いました。
 がんばっている医師にとって、精神的に、このシステムは随分ありがたいに違いありません。


 しかし・・・です。

 松代病院の過酷さは、これで解消されているわけではありません。


 以前あった診療所は、医師が死亡したため、閉鎖されたということでしたが、なぜ、この地域に誰もほかに開業する人がいないのでしょう?

 日本医師会も、何か制度改革をしようとするとすぐに『患者様の不利益につながる』とか何とか言って反対しますが、もっとしっかり監視して、地域医療というものを本気で考えて欲しいと思います。

 日本医師会は、入会金もとっても高いそうで(ウン百万円だそうです)、儲かっている開業医様しか会員になれないから(?)、そういう、あまり儲からなさそうな地域とか、ベンツやポルシェを乗り回してお食事に行くようなところのない地域には、行きたくないのでしょうかね?

 日本医師会の大好きな言葉に、『かかりつけ医』というのがあります。

 でも、地方の高齢者の地域や過疎地には、善意のお医者様が、その個人の善意のみでがんばっていて、日本医師会の言うような、『かかりつけ医』としての開業医のイメージは無いように思います。

 私が以前に見た番組でも、どこかの大学の医局から指名されて診療所に勤務しているような先生(医師)が、自転車で一生懸命往診している姿が映し出されていましたが、そちらに開業し『かかりつけ医』となった人ではなかったように記憶しています。
 過疎地、離島などの診療所の医師は、ほとんどの場合(自ら希望して任地に赴くにしても)開業医ではなく、勤務医ですよね。

 そして、ほとんどの地域の場合、そこの住民の高齢化など、諸条件により、住民の現金収入は都会ほど多くないので、税収も少なくなります。

 人口が少ないから、カバーする面積は広くなりますが、資金が不足していますから、医師を雇うことが出来ません。
 やっと雇うとしても、非常に少ない人数になってしまいます。

 雇われる側の医師としたら、過酷な労働が待っていることがわかりきっているわけですから、当然躊躇しますよね。
 過酷な労働の中で、責任だけは自分に降りかかっているわけですし。


 今の与党のプランとしては、『小さい政府』(←イギリスのサッチャー女史が断行したような)を目指しているということで、教育や医療など、どんどん国から切り離し、地方自治体に丸投げしようとしているように感じられますよね。

 でも、格差社会の中で、地方の現金収入は、ますます将来展望は暗いと思います。
 山を切り開いて要りもしない道路や工業団地を作って現金を呼び込む時代でもないと思います。
(いまだに空港とか干拓とか、ばかばかしいことに血税が使われていますけどね。)
 道路に関して言うならば、私個人は、新しいものを作るのではなく、安全性を高めるメンテナンスにこそ、お金を使って欲しいと思います。(←それだって、ものすごくお金がかかるはず)
 ガードレールが曲がってるとか、ない、とか、がけが崩れかかってるとか、いろいろな危険な場所があると思います。道路が轍でけずれて、大きな水溜りになっているようなところもありますよね。(いきなり車がウォータースライダーになっちゃったりして!)


 要するに、国家財政の収支を建て直すために、教育や医療などを地方自治体任せにして、どんどん切り離し、国の機能を小さくするという『小さい政府』の考え方というかビジョンはわかりますが、切り離されたもの自体が、どのように運営され、どのようにその機能を果たしていくか、というビジョンはどうなっているのでしょうか?
 その先のビジョンがきっちりとあるようには、とても思えません。

 切り離したから、あとはそっちで適当に・・・では、あまりに無責任ではないでしょうか。
 受け手の側の医療体制に関しては、財政面と医療の質の確保について、どのように考えられているのでしょうか。


 また、そこらへん、『医は仁術』の日本医師会は、どう考えているんでしょうね?

 国民の健康を守る門番として、広く『かかりつけ医』を提供するシステムを構築しようとか、何かビジョンはあるんでしょうかね?

 高齢者ばかりの過疎地域に対して、今こそ自分たちの出番である、なんて、全く考えていないようにしか思えないんですけど。

 そういう地域にこそ、あなた方の『患者さま』は、たくさんいるはずなんですけど・・・・。




 ただ、私は、今のところ・・・この件に関しては全く当事者ではありません・・・。
 こういう問題って、『当事者の声』が、一番強いのですが・・・。


 過疎地の勤務医の先生とか、地域住民とかが、もっと本気で声を上げない限り、多分何も変わらないだろうと思います。
 地域住民の皆さんは、病院の先生方の現状を見て、何も思わないのでしょうか?
 『それが普通』のこととして、慣れてしまっている・・・ということなのでしょうね。

 過酷な現場を何とかしない限り、担当医の先生が過労で倒れるリスクがかなり高くなり、そのリスクによって影響をもろに受けるのは、患者となる地域住民です。つまり、このリスクは、住民のリスクなんです。

 これまで特に何かが起こらなかったから、起こるまでは何も考えない・・・のかな?

 誰でも(自分も含め)そうですから、そのことを非難する気はありませんが・・・。


 何かが起こってから慌てるのでは、遅いですし・・・。

 それに、あのような現場の医師が、何かで小さなミスを犯し、それが重大な結果になったとき・・・。

 被害者ももちろん悲惨だし気の毒ですが、じつは現場の医師が、一番の被害者となるのではないか・・・と思うのです。
 あのような労働環境(少人数で地域住民全部の健康を守っている)では、人為的ミスが出ても、それは、その当事者の人災とは、とても呼べないと私は感じました。
 でも、ひとたびそういう事故が起こったときには、その人のそれまでの頑張りや献身などよりも、『またしても医療ミス』というような部分ばかりがクローズアップされてしまいます。
 裁判でも起こされて訴えられるとしたら、医師になるでしょうし。

 でも、こういう場合は、明らかに行政に責任があると私は強く感じました。

 そこらへんを、国の責任者が、もっと重く受け止めてくれるといいんですが・・・。
 (医療ミスはまだ起こってもいないんですけれど・・・(;^。^A    )







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Last updated  2006年06月24日 09時43分33秒
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