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2008年03月25日
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テーマ:癌(3550)
カテゴリ:がん治療法
みなさまこんにちは~~

大変ご無沙汰しています。

東京では、桜も開花してしまいました~~~。
(このブログの壁紙も、そろそろ変えないと・・・。
 ご挨拶の枠の中なんて、お正月のまんまだし・・・泣き笑い

暇な日がまったく無かったわけでもないのですが、更新ご無沙汰してました。すみません。

でもでも、かなりハードな日々ではありました。

さすがに少々ヘバリ気味です。


と、自分の近況はまた今度にして、日経メディカルオンラインでも紹介されていますが、2008年2月末に『第80回日本胃癌学会総会』が開催されたそうで、治療のガイドラインも改定されるようです。

 詳しくは日経メディカルオンライン胃癌学会スペシャルサイトでご覧ください。
    http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/gakkai/jgca2008/ ブルー小

 特筆すべきは、ステージ2、3(=2期、3期←通常はローマ数字ですが、楽天では使えないので普通のアラビア数字で表記しています)の胃癌の治癒切除後、S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤=商品名:TS-1)を補助化学療法として投与した場合の効果を検討した臨床試験において、3年生存率、3年無再発生存率ともに、S-1投与群で非投与群よりも有意な改善が得られたというものです。

 日本胃癌学会のホームページでも公開されています。どうぞご覧ください。
   http://www.jgca.jp/PDFfiles/sokuho080122.pdfブルー小

 この臨床試験(=治験)は、2001年10月から2004年12月まで対象患者を募集・登録し、1059例が登録されました。そのうちの1034例が適格と判断され、TS-1群(手術後にTS-1による補助化学療法を行うグループ)515例と手術単独群(TS-1を投与しないグループ)519例で行われました。

 日本では、なかなか大規模な治験が行われませんが、この治験は日本最大級、海外と比較しても、エビデンスレベルの高いものになるのではないでしょうか。

 登録終了1年後の2005年12月に中間解析が行われ、その結果を受けて2006年には効果・安全性評価委員会が開催されました。そして、全生存期間、無再発生存期間ともにTS-1群のほうが有為によかったので、有効性の早期中止基準を下に委員会は、TS-1は補助化学療法として有効と判断し、試験の早期中止と現時点での予後データに基づいた解析結果を公表するように勧告し、7月に中止されたそうです。

 まあ、要するに、TS-1を補助化学療法に使ったグループのほうが予後が良いことがはっきりしたので、これ以上だらだら治験を続けると、TS-1を使わないグループの不利益が大きくなる、ということで中止されたわけです。乳がんのハーセプチン(トラスツズマブ)を使った治験の時みたいですね。


 ガイドラインがこのようにはっきりと指針を示してくれれば、ダブルスタンダードが解消されて、患者も医療者も苦しまずに済みます。

 2005年の中間報告から実に2年以上経ってやっとガイドラインに載るのか、と思うと、その2年の間に罹患した患者の不利益を思わずにいられませんが・・・・。




 そのほか、再発・進行胃癌の治療のファーストラインが、
  TS-1 + シスプラチンになるようです。
  http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jgca2008/200803/505709.html ブルー小

 TS-1は、経口剤で点滴治療より患者の治療負担が軽いといわれる反面、腸閉塞などにより経口での食事の摂取ができなくなったときには、使うことができません。
 ですから、胃癌の患者さんが口からものが食べられるうちにぜひ試してもらいたい治療薬だと思っていました。
 今回、TS-1+シスプラチンがファーストラインになったことにより、経口での食事が摂取できる方なら、最初に試される治療法となりました。
 私は、それがうれしいです。

 TS-1+シスプラチンの生存期間中央値は13ヶ月だそうです。

 がんの進行により食事の経口摂取ができなくなってTS-1が使えなくなっても、5-FU+MTX+LVなどの点滴による抗がん剤治療は行えますから、そういった治療法をセカンドラインに加えていくことなどにより、予後が厳しいといわれている進行・再発の胃癌にも、希望の光が増えてくると思います。


 日本では、胃がんの罹患者数は約10万8000人(2001年)、死亡者数は約5万人(2005年)です。
 アメリカの約5倍だそうです。

 欧米では大腸がんや肺がん、乳がんなどの患者数のほうが胃がんより多いので、抗がん剤の臨床試験によって画期的な治療法が誕生するのは、そういった患者数の多いがんになります。
 治療薬も、そういったがんの種類のものが多く誕生することになります。

 胃がんの化学療法は、TS-1 + シスプラチン は、有効性が確立しましたが、そのほかのエビデンスが、世界的に見ても、「これは」と思うものが、あまりありません。

 大腸がんや肺がんなどは、それぞれの領域の世界的な学会でさまざまなエビデンスが毎年報告されますが、胃がんは、患者数の多い日本やその他のアジア諸国でエビデンスを作っていかない限り、なかなか進歩していきません。


 患者が多く参加できる治験が行われ、これから胃がんになる人が多くの希望を持って治療に取り組めるように、ぜひ日本胃癌学会にリードしていただきたいと思います。
 きちんとした、患者のためになる治験ならば、患者側も、参加することによってそれを応援し、支えていくことができると思います。

 2009年のASCO(米国臨床腫瘍学会)では、FLAGS試験(5-FU+シスプラチンに対するS-1+シスプラチンの優位性を検証する国際フェーズIII試験)が予定されているそうです。

 それにより、どちらがファーストラインになるかが、よりはっきりするそうです。


 まあ、いずれにせよ、今まで、日本では、胃がんの抗がん剤治療については、ガイドラインが無く、推奨される治療法が明確にされていなかったので、その治療は現場の医師の裁量に任されていました。

 “現場の医師の裁量”という点では、このガイドラインがあっても同じといえば同じかもしれませんが、あきらかに自分の受けている治療がこのガイドラインからかけ離れているときには、患者もそれについて医師に質問したり、セカンドオピニオンを求めて客観的な意見をもらうこともできると思います。


 母が発病した当初のことを思えば、ずいぶん情報が整理されてきたな、と思います。


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Last updated  2008年03月25日 12時54分54秒
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