アンチ エイジング
◇糖化は老化 糖化反応は糖とアミノ酸(タンパク質)の非酵素的な化学反応であり、醤油・味噌などの調味料製造に利用されてきた。また、ヒト血中糖化生成物(HbA1cなど)測定は糖尿病の管理指標として臨床応用されている。一方、最終糖化反応生成物(AGEs)の生成はタンパク質の硬化変性を伴うため、その進行が生体組織の物理的・生理的機能低下をもたらしている。 平成16年度糖尿病実態調査(厚生労働省)では、糖尿病の可能性を否定できない人・強く疑われる人が1,620万人おり、成人の6人に1人が糖尿病またはその予備軍であると報告されている。糖尿病は代謝疾患の一種で、自覚症状のない高血糖状態が続くことによる神経障害、網膜症、腎症などの合併症進行が著しい生活の質(QOL)低下を招く。糖尿病合併症の病態には、末梢神経の感覚低下、毛細血管の硬化・詰まりなど、加齢に伴う老化との共通点があると共に、組織の糖化進行がその原因の1つになっている。またAGEsの生体内蓄積は健常者であっても、加齢に伴って増加する。すなわち糖化の進行は老化を意味している。◇糖化を阻害する 糖化反応阻害による糖尿病合併症治療薬の研究は1980年代より世界各国で進んでいる。中でも、アミノグアニジンによる糖化反応中間体のカルボニル基の封鎖が、腎症の進展遅延に作用することが知られている。しかし副作用や安全性などの理由により、日本国内での実用化には至っていない。また、抗酸化性物質による糖化反応の抑制作用が報告されているものの、摂取量やその安定性に課題がある。 近年、我々の研究チームでは日本人に馴染み深いハーブエキス(カモミール、ドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウ葉)中に抗糖化作用があることを発見し、その作用がアミノグアニジンと同等以上であることを確認した。また、その混合エキスを糖尿病患者が摂取すると、血中糖化反応中間体やAGEsの生成が阻害されると共に皮膚弾力の改善が見られたことから、抗糖化作用はアンチエイジングに有用との結果を得ている。◇アンチエイジングと抗糖化 ヒトが生物として生命活動を維持するためには、その母体であるタンパク質とエネルギー源である糖の供給が不可欠である。生体中の糖化反応は、糖濃度が高いほど、生存期間が長いほど進行する。糖尿病の疑いがある人が増加している近年の傾向は、様々な老化原因に加えて、糖化による老化リスク増大を意味している。今後アンチエイジングを効果的に進め、年齢ごとに最もイキイキとした状態を保つためには、抗糖化(糖化反応の阻害)に新たな可能性がある。出典http://www.kasuikyo.jp/text/4-3.html